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ソルティーロが本田圭佑を超える日 特別編 「ロシアW杯までに300校。日本一のサッカースクールへ」 

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2014/08/29 10:30

ソルティーロが本田圭佑を超える日 特別編 「ロシアW杯までに300校。日本一のサッカースクールへ」<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

子供の判断力や自主性を養う指導法とは?

「現在は小学生が中心ですが、ソルティーロに入ってくる子供たちは大きく分けて3つの段階があります。まずはサッカーに初めて触れる子、そしてサッカーに興味を持ち始め、技術を磨きたいと考えている子、さらに将来はプロやトップ選手を目指すという明確な目標を持っている子。僕らはどのレベルの子供たちにも、同じ密度で接したいと考えています。だから、トップを目指す子だけを育成したいと思っている指導者は、いくら優秀でも我々のスクールには合わないかもしれません」

 異なるレベルの子供たちを指導するのは本当に難しい。特に小学校低学年では、パスやシュートの練習ひとつとっても、コーチ陣の説明をすぐに理解できる子とそうでない子の差が大きい。指導者の育成や子供たちへの伝え方という面で特に心がけていることはあるのだろうか。

「ソルティーロで2年以上指導の現場に携わってきて、最も難しいと思うのは、技術面よりも人間性の部分ですね。本田選手自身が常々言っていることですが、僕らが最も重要だと思っているのは、選択肢を持って決断していくこと。つまり、サッカーを通じて判断力や自主性を養ってほしいのです。例えば、シュート練習で左右交互に重ならないように効率的にやろうと思えば、コーチが笛を吹いて指導すれば簡単なことです。でも僕たちは、周りの状況を観察しながら、自主的に判断するように子供たちを促す。このときにどういう声をかけるかで、指導の質や子供の能力の引き出し方は大きく変わってくると思います」

本田の経験と感性を練習メニューに反映。

 指導のカリキュラムから、コーチ陣、子供たちへの言葉の伝え方まで、鈴木はミラノにいる本田とミーティングを重ねている。

 本田が掲げる「ポゼッションサッカーでゴールを奪う」という大前提をもとに、トッププレイヤーとしての本田の経験や感性から出て来るアイディアを、鈴木は指導者としての観点から練習メニューに落とし込む。さらに、約50人のコーチ陣たちを月に2~4回、一堂に集めてメニューの背景にある理念やコンセプトまで説明した上で、実践する。時間がない時は、ビデオやレポートを用意して必ず共有してもらう。その繰り返しこそが、ソルティーロが質も量も両立できる道だと、鈴木は考えている。

【次ページ】 初ゴールを決めた本田からヒントを得る。

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本田圭佑

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