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石川遼がトレーナー不在で戦う理由。
「誰かに頼らないといけない体は嫌」 

text by

桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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posted2014/08/21 10:30

石川遼がトレーナー不在で戦う理由。「誰かに頼らないといけない体は嫌」<Number Web> photograph by Getty Images

今季はPGAレギュラーシーズンを75位で終え、危なげなくシード権を獲得した石川遼。

「誰かに頼らないと回復しない体になるのが嫌だった」

 では、このシーズンのクライマックスに、石川は一体何をテストする気なのか。

「セルフ・コンディショニングをやってみようと思って」

 そう本人は胸を張って語った。

 ラウンドに向かう石川のスケジュールは、ティオフの約4時間前に起床し、ストレッチから徐々に体を起こしていくのが定例だ。その後ハリが出ている筋肉にマッサージを施し、ランニングを中心とした有酸素運動を経て、ボールを打ち始める。

 普段はそこに専属トレーナーを付き添わせていたのだが、今回の期間はすべてのルーティンワーク、そして夜の体のケア、トレーニングメニューの考案も自ら行なうのだという。寝起き直後のストレッチは40分間と長時間で、マッサージも自分の両手が頼り。背中などは手が届かないところもあるのでは? 見ている側はそんな不安も感じるが、「肩甲骨のトレーニングをやったりすることでほぐれる」と本人はどこ吹く風だ。

 セルフ・コンディショニングという決断に至ったのは、意識の変化が理由だ。

「そんなことやる必要あるの? って、思われるかもしれないけど、毎日他人にケアをされて、誰かに頼らないと回復しない体になるのが嫌だった。“自己免疫力”というか……それをつける期間にしたいなと。『ここが痛いから治してください』と言ってばかりだと、自分の体が分からなくなってくる」

「体には“つながり”が絶対ある」

 実はかねてから、トレーナーの成瀬克弘氏らは「選手はいずれ、自分で体を管理できるようにならなくてはいけない」と考えてきたのだが、腰が爆発寸前だった石川にとってそれは、夢物語だった。

「今までは『無理! 絶対無理です! いないと怖いんで』みたいな感じだった(笑)」

 しかし、治療やトレーニングにより患部が回復するうちに、体のメカニズムに対する好奇心が芽生え、その言葉の意味も理解できるようになったのである。

 最近では腰に痛みが出れば「何番目の腰椎に負担がかかっているかも分かる」と言うほどだ。

「体には“つながり”が絶対あるんです。腰の痛みの原因が、意外と足首から来たり、ふくらはぎだったり、脛や膝からだったり……。それを全部チェックしていくと治ることがある」

【次ページ】 トレーナーが帰国した直後、右手に痛みが。

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