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「俺らのパスサッカーに迫力があれば」
遠藤保仁が認める“力不足”と悔しさ。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byGetty Images
posted2014/06/28 11:30
後半に攻撃のリズムを変える「ジョーカー」として投入された遠藤保仁だったが、勝利をたぐりよせることは簡単ではなかった。チーム最年長の男は、今後どんなキャリアを歩んでいくのだろうか。
パワープレーは、パスサッカーに迫力がなかったから。
「攻撃が全体的に単調だった。ギリシャ戦もコロンビア戦も、クロスは入るけど1点も取れなかった。日本は高さがない分、速く精度の高いクロスが求められるけど、ふんわりしたボールが多かった。ウッチーが嘉人に入れた速いクロスみたいのを増やせれば、もっと得点の可能性も広がったと思うけどね。
それに俺たちはパス主体で崩すチームだったけど、最後に監督が選んだのはパワープレーだった。それを選ばざるをえないというのは、俺らのパスサッカーに迫力がないというか、得点の可能性が感じられなかったからでしょ。もっと工夫して攻めるべきだったけど、アイデアが足りなかったね」
大会を通じて、遠藤はあまりにも多くのカウンターを喰らったことも攻撃の完成度の低さを示していると話した。
「ギリシャ戦やコロンビア戦のように俺たちがボールを支配している中、相手を深い位置に押し込んできちんとフィニッシュで終われれば、あんなにカウンターを喰らうことはなかった。でも、それができなかった。フィニッシュする前に中途半端な形でボールを奪われ、しかも自分たちの武器を封じ込まれてドタバタしていた。自分たちでペースを乱してしまったよね。それじゃ試合に勝てない。自分たちの戦いにもっていけなかったのは、やはり力不足としか言いようがないと思う」
「俺が出れば何か変えられると思っていたけどね」
遠藤自身は、3試合中コートジボワール戦とギリシャ戦の2試合、しかも途中出場で終わった。4年前、南アフリカW杯では中盤を支え、全試合にスタメン出場したが今回は寂しい結果に終わった。
「自分が出られなかったことは、監督が決めることだからしょうがない。もちろん出たいという気持ちはあったし、俺が出れば何か変えられると思っていたけどね。悔しい思いはあるけど、いつも試合に出ていたからといってW杯でも出られる保証はない。監督ともコミュニケーションは取っていたんで不満はないし、そういう大会だから俺が監督にアピールできなかったということだと思っている」