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「俺らのパスサッカーに迫力があれば」
遠藤保仁が認める“力不足”と悔しさ。
posted2014/06/28 11:30
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Getty Images
ブラジルW杯、3試合で1分け2敗、勝ち点1。日本はグループリーグC組最下位でW杯を終えた。遠藤保仁は、攻守の軸として期待されながらもコートジボワール戦、ギリシャ戦ともに途中出場で終わり、コロンビア戦は出番がなかった。
「チームも自分も力がなかったことに尽きるね」
大会前は自信満々だった。アメリカでのテストマッチ2試合をいずれも逆転勝ちし、2試合で7点を奪った。手応えを感じ、ブラジルに乗り込んできた。だがW杯初戦のコートジボワール戦、本田圭佑のゴールで先制してプラン通りの展開に持ち込みながら、最後まで自分たちのサッカーを出せず、逆転負けを喫した。
「今思えば、この敗戦が大きかった。コートジボワールは、予想以上にいいチームだったけど、俺らがやれなさ過ぎた。自分たちのサッカーがまったくできなかったからね。負けたこと以上にそのショックが大きくて、ギリシャ戦にも影響した。普通にやれば勝てるのに、普通にプレーできず、相手が10人になっても崩せない。点を取れない焦りが攻撃を単調にしてしまい、クロスを放り込むだけになった。
途中から出た俺にもリズムを変えられなかった責任があるけど、あそこで勝ち点3を取れなかったことが大きかった。それが最後のコロンビア戦に大きなプレッシャーを抱えて挑むことに繋がってしまった」
テストマッチでの攻撃力は最後まで発揮されなかった。
確かにコロンビア戦は、前半開始から試合終盤のような雰囲気で前掛かりに攻撃を仕掛けた。それは遠藤が言うように、勝たないといけないプレッシャーの表れでもあった。
「コロンビアは、負けても1位通過できる余裕を持っていたけど、俺らは勝たないといけない。心理的に相手がかなり有利だった。メンバーを8人も入れ替えてきたのもそうだし、後半ハメス・ロドリゲスを入れてきたのもそう。
しかも、前半終了間際にいい感じで追い付いたのに、後半の早い時間に2点目を失った。それで2点取らないといけないという状況に追い込まれ、さらに余裕がなくなった。先にリードした状況であれば違う展開になったと思うだけに悔しかったね」
最後まで攻めの姿勢は貫いたが、逆にカウンターの2発を喰らい1-4の大敗。日本はアメリカでのテストマッチで見せたような攻撃を披露することなく、大会を終えた。