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ロナウドが試合後に口にした“諦め”。
ポルトガル積年の課題は解決されず。
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byGetty Images
posted2014/06/24 10:30
試合後にピッチに座り込んだロナウドの目に、ベルナベウで見せる輝きはなかった。グループ最終戦、彼はどんな表情で試合に臨むのだろうか。
2トップに配されたロナウドにパスが出ず。
前半途中からパウロ・ベント監督は4-4-2の布陣に変更し、ロナウドを2トップに配した。CLでレアル・マドリーが採用したのと同じ形だったが、クラブとは違い、中盤から効果的なパスがロナウドに全く出てこない。裏に抜けるロナウドにパスが出ず、彼がフラストレーションを表す場面が増えていった。
米国のGKティム・ハワードの言葉はストレートで上手く表している。
「正直、ポルトガルの攻撃はあまり怖くなかった」
それでは何が機能しなかったのか。
結局は、この国の永遠の問題でもあるCF不在にいきつく。今回は不運もあった。ウーゴ・アウメイダが初戦で負傷、米国戦ではわずか16分でポスティガが負傷退場した。2試合でふたりのFWを負傷で失ったのである。
コンディションも、70%ほどの出来か。
2試合で代わりに入ったエデルはボールも収まらず、ロナウドと共にプレーしたのも数回。そこに連携と呼べるものはなかった。ロナウドがいいタイミングで抜けてもエデルはボールを出すことができず、逆にエースから好ボールを受けても簡単に失うなど、まるでいいところがなかった。
ロナウド自身のコンディションも低かった。本人は認めないが、せいぜい70%程度だろう。ボールテクニックをみせる場面もあったが、全体的に恐る恐るプレーしており、ハワードが言うような「怖さ」は全く感じられない。
後半は米国の勢いに押され、ジョーンズとデンプシーの得点で逆転。ロナウドの最後のクロスにより第2戦で大会敗退が決まることはなかったが、チームの士気は低い。
パウロ・ベント監督は「第3戦にかけるだけ。残念ながら、可能性は大きくはないが」とつぶやいた。選手たちは、ほとんどが口を開かなかった。普段は口を開くモウチーニョが、メイレレスが、無言で取材エリアを通り抜けていった。