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全米OPの注目は「フィル&ヒデキ」?
2人の対照的な“気負い”対応法。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byGetty Images
posted2014/06/12 10:50
全米オープンの練習日も、いつもと変わらず淡々とラウンドをこなした松山英樹。日本人初となるメジャー制覇なるか。
センチメンタリズムとアメリカンドリーム。
そんな大切な大会を目前にして、2週前のメモリアルでは試合会場でFBIの調査員からインサイダー取り引きに関する事情聴取を受け、渦中の人と化した。「やましいことは何一つない」と胸を張り、幼いころから夢にまで見てきた全米オープン制覇とグランドスラム達成を目指し、パインハーストに乗り込んできたミケルソン。
そこにはアメリカ人が大好きなセンチメンタリズムとドリーム・カムズ・トゥルーの物語とネバーギブアップの精神がぎゅうぎゅう詰めになっている。だからこそ、ミケルソンは「オンリー・フィル」と言われるほど、注目を独り占めにしているのだ。
とはいえ、全米オープンで過去に6度も2位に甘んじてきたミケルソンゆえ、いつまでも感傷に浸っているわけにはいかない。今回こそは勝利を掴むべく早々に現実に目を向け、すでに前週から練習ラウンドを済ませて、コースも緻密にチェック済みだ。
今年はコースが大幅に改修され、かつての深いラフは取り払われて、フェアウエイ両サイドには野生植物を植えた砂地が広がっている。ミケルソンは「コースが変わっている分、過去のプレー経験がすごく役立つとは思わない」と冷静に受け止め、新設された砂地への対策も入念に探った。
「あの砂地は入ってもプレー(脱出)可能だ。10回中9回はグリーンの近くまで運べる」
「自分に期待していないときほど好成績が出る」
'99年大会当時と比べると、コースは全長で400ヤード近くも伸長されている。
「毎ホール、ティショットのクラブには2~3本の候補がある。でも僕はドライバーを多用してアグレッシブに攻めていく」
近年の全米オープンでは、主催者であるUSGA(全米ゴルフ協会)が数ホールのティの位置を4日間の中で大幅に変更し、まったく異なる攻め方をプレーヤーに求めてくる。
「5番のパー5はティが前なら2オンを狙って、バーディー、イーグルを狙う。ティが後ろなら第3打は僕の場合は50ヤードのピッチショットになる。そうなると、あんまりうれしいことではないけどね」
準備万端。すべての筋書きはできている様子。だが、ミケルソンは、こうも言った。
「僕は自分に期待していないときほど好成績を出す傾向がある。だから今回は自分にプレッシャーをかけすぎないようにしようと思う。(優勝やグランドスラムの)チャンスがある大会の1つという程度に捉えようと思う」