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デルボスケ、“賭け”にでた23人。
スペイン代表メンバー、3つの論点。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2014/06/04 10:40
レアル・マドリーでCLを2度、そしてスペイン代表を率いてW杯、EUROを制覇。この3つのタイトルを手にした監督は史上ただ一人だ。
「選手の目の輝きも同じではなくなってくる」
こうして特徴を並べ、それぞれの良い面を考えると、今回のスペイン代表は計算できる選手を集め、選手の特性を揃えることで方向性を明らかにし、フィジカルコンディションの面で起こり得るトラブルをあらかじめ排した上で、旬の選手を加えている。
いかにも強そうではないか。
しかし実際は、それら全てがリスクを内在してもいる。
たとえば同じ選手で戦うということ。
'08年から欧州・世界の頂点に君臨するスペイン代表を研究する材料などいくらでも手に入るので、対戦相手は容易に対策を練ることができる。一方で、勝つことになれた選手の慢心とモチベーション低下も怖い。デルボスケ自身、FIFA TVのインタビューで「これだけ勝ち続けると、選手の目の輝きも以前と同じではなくなってくる」と語っている。
ナバスのサイド突破とジョレンテのヘディングを放棄。
諸条件が異なるのでそのまま比較するわけにはいかないが、'02年日韓大会のフランス代表には'98年大会で優勝を経験した選手が14人いた。'00年には欧州王者になっていたこともあって、連覇の可能性も取り沙汰された。ところが蓋を開けるとチームのパフォーマンスは全く上がらず、1勝どころか1得点もできないままグループステージで姿を消した。
ナバス、ジョレンテ、ネグレドの非招集の影響はもっと直接的で、攻撃手段が減ってしまっている。
特に敵が守備を固めてきたとき、デルボスケはこれまでのようにナバスにサイドからの崩しを命じることができなくなった。ヘディング勝負の放棄は、ショートパスとコンビネーションで攻めるスペインにとってはそれほど重要ではないかもしれないが、敵の案じ事を減らしてしまうという点ではやはりマイナスだ。
アトレティコ組の増加については、それ自体なんら問題はない。代表とアトレティコのサッカーの違いをいう人もいるだろうが、現在のスタイルが定着した'08年、代表にどこよりも多くの選手を提供していたのはバルサではなくバレンシアだった。