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世界ランクの1位と3位が日本人!
黄金時代は、競歩の歴史を覆すか。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2014/05/11 10:50
世界ランキング1位、3位を占める鈴木雄介と高橋英輝。鈴木は26歳、高橋はまだ岩手大の4年生。競歩は比較的競技人生が長く、2人の更なる成長に期待がかかる。
鈴木を追う層も厚みを増し、世界を狙う。
鈴木ばかりではない。20kmの世界ランキングで3位につける高橋英輝がいれば、昨年の世界選手権20kmで日本勢最高の6位入賞を果たした西塔拓己もいる。層も厚くなっているのが現在の競歩男子だ。陸上の強化指定選手全体の中で、もっとも人数が多いのが競歩であることもそれを物語っている。
ではどのようにして競歩が充実の一途をたどっていったのか。そこには、長年メダルに届かなかった悔しさがある。なぜ届かないのか。海外の強豪国と比べてみたときに出た答えは、強化のあり方そのものだった。例えばロシアはトップクラスを頂点に、ピラミッドのような広がりを作り、一貫した強化を行なっている。日本は、個々の強化が中心だった。そこに思い当たったとき、組織的な強化に乗り出した。2000年代半ば前後からは海外合宿も開始。鈴木もその中にいた。全体として強化を図ろうという試みが今日につながっている。
また、鈴木がしばしば口に出してはっきり表す世界一を狙う意志の強さも、海外合宿などを通して培われた部分が大きいだろう。
これまで競歩は、陸上の各種目の中でも、スポットの当たらない場所にいた感があるのは否めない。その歴史を、位置を覆すためにも、鈴木をはじめとする競歩の選手たちの奮闘が注目される。