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日本人選手、名門クラブも渦中に。
混戦ブンデス残留争いの行方を占う。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2014/04/26 10:40
攻守ともにチームの中心的な存在だった長谷部誠の離脱はニュルンベルクにとって大きな痛手だった。残り3節、ブンデスリーガへの残留を賭けた戦いが始まる。
2部降格を経験したことがないHSVも窮地に立っている。
16位のHSVは、残留争いの中で最もナーバスな状態に陥っているのかもしれない。ブンデスリーガの名門クラブとして君臨してきたプライドがあるからだ。
HSVはブンデスリーガの歴史上で唯一、2部での戦いを経験したことのないクラブである。あのバイエルンでさえ、2部に所属したことがある。さらにHSVはチャンピオンズリーグの前身であるチャンピオンズカップを'82-'83シーズンには制したこともある(当時のチームの中心にいたのが、長谷部や内田篤人を指導し、現在はフルアムの監督を務めるマガト)。
しかし、今シーズンは2度も監督を解任して、暫定監督を含めれば現在のスロムカ監督がシーズン4人目の指揮官になる。スロムカ監督が就任したのが2月という遅い時期だったこともあり、チームとしての戦い方がいまだに見えてこないのだ。選手の能力は高いため、ときおり大勝するのだが、チームとしての成績は不安定。残留争いをするチームの中で最もコンセプトのわかりづらいチームとなってしまっている。次節の結果によって順位を落とすようなことがあれば、チームを取り巻く状況はさらに悪くなる可能性がある。
シュツットガルトは最終節がバイエルン戦と難敵続き。
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15位のシュツットガルトは前節、シャルケを3-1と下したため、頭ひとつ抜け出した感がある。また、3シーズン前にも残留争いに巻き込まれながらそこを勝ち抜いた経験を持つ選手がチームには少なくないのは強みとなる。3月9日に就任したステフェンス監督のもとで、難しいことには取り組まず、攻守の素早い切り替えや球際の競り合いで戦う姿勢など、基本的なことに取り組んできたこともプラスに働いている。
ただ、彼らのネックは日程である。
第33節の相手はCL出場権を狙うヴォルフスブルク。そして最終節の相手が、地元のファンにマイスターシャーレのお披露目をすべく士気が上がるであろうバイエルンとのアウェーゲームなのだ。対戦相手に恵まれていないだけに、まだまだ油断は出来ないだろう。
ブンデス史上まれに見る残留争い。天国と地獄を分けるのは、チームとしてのコンセプトか。それとも経験か。はたまた運なのか。その行方は最終節までもつれ込むことになりそうだ。