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日本人選手、名門クラブも渦中に。
混戦ブンデス残留争いの行方を占う。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2014/04/26 10:40
攻守ともにチームの中心的な存在だった長谷部誠の離脱はニュルンベルクにとって大きな痛手だった。残り3節、ブンデスリーガへの残留を賭けた戦いが始まる。
一時は復調したニュルンベルクだったが……。
一方で17位のニュルンベルクの雲行きはかなり怪しくなっている。
リーグ前半戦未勝利というブンデスリーガ史に残る不名誉な記録を作ってしまったチームだったが、10月に就任したフェルベーク監督のもと、ウインターブレイク中にチームがまとまって目指すべきサッカーへと突き進んだ。その結果、後半戦が始まってから最初の5試合では、バイエルンにこそ敗れたものの、4勝1敗という驚異の成績を残して、1部残留を決めるのは時間の問題であるかのように見られていた。
しかし、チームはそれ以降の9試合で1勝8敗と大ブレーキ。ドイツメディアは今週中にもフェルベーク監督を解任することになるのではと報じていた。クラブは結局、フェルベーク監督を解任して、ニュルンベルクのU-23で指揮をとっていたプリンツェン氏が監督に就任した。
主導権を握るスタイルの停滞に加えて怪我人も続出。
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フェルベーク体制下のニュルンベルクは“攻撃のための守備”を基本に、自分たちがイニシアチブを握るサッカーに取り組んできたのだが、ここに来て結果がついてこなくなった。残留争いをするチームの多くが守備的に戦うのに対して、あくまでも主体的にパスをつなぐサッカーは異色のものに映っていた。それゆえに選手たちからもポジティブな声が上がっていたが、ここにきてチームは停滞ムードだ。
また、そこに拍車をかけるように怪我人が続出。チャンドラーは早ければ26日のマインツ戦で復帰する可能性があるが、長谷部誠、ニルソン、フォイルナー、ギンチェク、ゲブハルトなど、レギュラーを張れる力のある選手たちが戦列を離れている。さらに、ブンデスリーガ史上もっとも多く2部降格を経験しているクラブに漂う諦めモードも気がかりだ。
「内容が良くなくて、勝ち点も獲れないというのは少しヤバいですけど、そんなことは言っていられない。とりあえずは勝たないと、勝ち点が積み上げられないので、あと3試合、死ぬ気で頑張ります」
清武弘嗣はそう語り、最低限の義務である残留を誓うが、果たしてどうなるか。