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今度こそ本物の“ブッフォン2世”か。
現役高校生セリエGK、スクフェット。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2014/04/30 10:30
今やイタリア中の期待を背負うことになった17歳のシモーネ・スクフェット。イタリアが誇る名ゴールキーパーの系譜にその名を連ねることができるか。
新たな“ブッフォン2世”が現れた。
17歳にして、ウディネーゼの正GKの座をつかんだシモーネ・スクフェットに、イタリアサッカー界は久しぶりの大物守護神誕生の予感を嗅ぎとっている。
スクフェットは、22節のボローニャ戦でセリエAデビュー戦を果たした。
ボローニャへの遠征を前に、背番号1のGKブルキッチが故障した。第2GKケラバのセーブ能力には不安がつきまとう。プロビンチャーレ(地方クラブ)の名将グイドリンは、第3GKだったスクフェットが持つ冷静さを見込んで抜擢を決断。「おまえの出番だ」と17歳の背中を叩き、プロの世界へ送り出した。
低いボールに抜群の反応を見せたスクフェットはデビュー戦からの2試合を連続完封し、経験不足のリスクを覚悟で起用に踏み切った指揮官グイドリンの期待に見事応えた。
ブルキッチはすぐにケガから復帰したが、正守護神の座はもうスクフェットのものだった。デビュー戦から続く連続フル出場記録も、35節トリノ戦で14試合に達した。
パラシオは「あの若造にしてやられた」と呻いた。
6度の無失点試合のうち、30節インテル戦のインパクトは大きかった。
殿堂サンシーロでの初試合ともなれば、緊張のあまりたいがいの新人GKがミスをする。しかし、スクフェットは冷静さを失わず、2度のスーパーセーブで決定機を防ぎ、ウディネーゼ時代から尊敬するインテルGKハンダノビッチより見せ場を作った。FWパラシオは試合後「あの若造にしてやられた」と呻いたほどだ。
U-19イタリア代表GKであるスクフェットへの注目は高まる一方で、抜擢した指揮官グイドリンですら驚く急成長ぶりだ。
「スクフェットはすっかり自信をつけたようだ。彼がブッフォンの後継者かどうかは、時間がたてばわかること。われわれ(ウディネーゼ)は、彼の将来にかけている」
外国人選手育成に特化したウディネーゼにとって、スクフェットはクラブ待望の地元出身選手だ。そして新進気鋭の若手GKには、ウディネ市内の商業高校に通う高校4年生というもう一つの顔がある(※イタリアの高校は5年制)。
彼は世にも珍しい“現役高校生セリエAプレーヤー”なのだ。