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第2戦マレーシアGPで珍事が発生。
伝統を破ったチームとマッサの意地。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2014/04/05 10:30

第2戦マレーシアGPで珍事が発生。伝統を破ったチームとマッサの意地。<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

レース序盤でマクラーレンのケビン・マグヌッセン(右)を追撃するウイリアムズのマッサ(左)とボッタス(中央手前)。このときは、マッサを抜かないようボッタスにチームオーダーが出され、ボッタスは「僕のほうが速いのに!」と不満を募らせながらも戦略に従った。しかし、終盤に出されたチームオーダーをマッサが守ることはなかった。

 今年で16年目を迎えたマレーシアGP。週末、メディアセンターのモニターで繰り返し、流されていた映像がある。それは、マレーシアGPで企てられたチームオーダーの歴史だ。

 チームオーダーとは、1チームに2人所属しているドライバーの順位を意図的に操作し、チームにとって最良の結果を得ることを目的にしたモータースポーツで古くから行なわれてきたレース戦略である。そして、マレーシアではこれまで何度か、そのチームオーダーが採用されてきた。

 じつはマレーシアGPでのチームオーダーは、マレーシアでF1が開催された1回目の'99年から始まっていた。この年、タイトル争いはマクラーレンのミカ・ハッキネンとフェラーリのエディ・アーバインとの間で繰り広げられていた。終盤戦として組み込まれていたマレーシアGP。そこに復帰してきたのが、フェラーリのミハエル・シューマッハーだった。

 シューマッハーは中盤戦のイギリスGPでメカニカルトラブルからクラッシュし、脚を骨折。マレーシアが休養明けの初戦だった。シューマッハーはケガで離脱していたとは思えない素晴らしい走りを披露。予選でポールポジションを獲得すると、レースでもファステストラップを記録し、リードを保った。そして、レース終盤にタイトル争いをしていたチームメートに勝利を譲るのである。

 シーズン終盤戦。しかも、シューマッハーにはタイトルの可能性がまったくない状況ということもあり、当然のチームプレーとして、このときは問題にならなかった。

新タイヤの影響で発令された2つのチームオーダー。

 マレーシアGPのチームオーダーで、もっとも論議を呼んだのが昨年、レッドブルとメルセデスAMGが行なったものである。この年のマレーシアGPは今年と同じ第2戦。まだタイトル争いはだれにでも残されているはずの中で、チームオーダーが採用されたのには理由があった。

 この年、タイヤを供給するピレリが、エンターテイメント性を上げるために意図的にタイヤの寿命を短くしたため、上位を走行していたレッドブルの2台とメルセデスAMGの2台は、チームメート同士で無用な争いをして共倒れに終わることを避けるために、それぞれ独自にチームオーダーを発令したのである。

【次ページ】 チームオーダーを無視し、優勝したベッテル。

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