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フィギュアペアは人気種目になるか。
高橋・木原組が背負う競技の“将来”。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph bySunao Noto/JMPA

posted2014/03/16 10:40

フィギュアペアは人気種目になるか。高橋・木原組が背負う競技の“将来”。<Number Web> photograph by Sunao Noto/JMPA

ソチ五輪の団体戦に日本が出場できたのは、ペアで自分たちの仕事を成し遂げた高橋・木原組のおかげでもあった。シングルが圧倒的な人気を誇る日本フィギュア界の中で、彼らは存在感を増していくことができるか。

日本でペア、アイスダンスの層が極端に薄い理由。

 日本唯一のペアだった高橋と木原は、団体戦で戦うにあたって大きな貢献を果たした。

 裏を返せば、日本でペアの層があまりにも薄いことを意味している。いや、ペアばかりでなく、アイスダンスもそうだ。

 育ちにくい事情はこれまでにいくつもあげられてきた。

 男子の選手が、女子よりも少ないということが一つ。

 スケートリンクの事情から、練習する環境がないことが一つ。

 加えて、「モデル」が身近にないこともあった。以前、ある関係者が言った。

「注目されないことも大きいですよね」

 アイスダンスやペアが、メディアで取り上げられる機会は少ない。つまり注目が集まりにくい。ある競技で活躍する、注目を集める選手がいると「やってみたい」という子どもが増えることはよくある。それが競技を活性化させることにもなる。だがアイスダンスやペアにはそうしたモデルがなかった。

2人の歩みは、日本フィギュア界の未来をも左右する。

 シングルの場合、地域にいる熱心な指導者の地道な努力が、今日に結びついている。しかし、上に記したような事情も絡み、アイスダンスのペアがそうした積み上げ体制も分厚かったとはいいがたく、スケート界をあげて、意識的に育成、強化するということもなかった。

 毎年末に行なわれる全日本選手権でもペアは出場なしということもあったし、1組のみという状態が長く続いてきた。

 そういった意味でも、高橋と木原が活動を始めて、オリンピックに出場したこの1年は変化をもたらすきっかけになるかもしれない。

 3月6日から9日まで、名古屋市の日本ガイシアリーナで行なわれた愛知県選手権では、須崎海羽、吉田海舟の中学生2名がペアに出場した。それもまた変化の予兆かもしれない。

 高橋と木原のこれからの一歩一歩は「上を狙いたい」という彼ら2名にとっても、日本のフィギュアスケートへの影響という点でも注目すべき足取りであり、世界選手権もまた、そのための一つとなる。

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