フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
世界選手権、日本勢のライバルは?
羽生結弦に挑む5人の海外男子選手。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2014/03/17 10:40
ソチ五輪ではSPで羽生結弦、パトリック・チャンに続く3位につけたが、FPでデニス・デンに逆転され惜しくもメダルを逃したハビエル・フェルナンデス。今年の欧州王者であり、世界選手権へのモチベーションも高い。
五輪シーズンの世界選手権は、五輪に出場したトップ選手の半数がばっさりと欠場することも珍しくない。
4年に一度の大舞台に向けて調整し、極限まで集中してきたアスリートにとって、その1カ月後に再び試合というのは、確かに酷なものなのだろう。中には怪我をおして五輪まではと無理に無理を重ねてきた選手もいるし、年齢的にももう体力の限界だったという選手もいる。
埼玉世界選手権には、パトリック・チャン、高橋大輔、そしてブライアン・ジュベールという過去の世界タイトル保持者が、それぞれの理由で欠場となった。必然的にここで新世界チャンピオンが誕生することになる。
最大の脅威、スペインのハビエル・フェルナンデス。
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最有力の優勝候補は、もちろん新五輪チャンピオンの羽生結弦だろう。その羽生にとって恐らく最大のライバルとなるのは、同じブライアン・オーサーコーチのもとでトレーニングをするスペインの22歳、ハビエル・フェルナンデスだ。昨年のロンドン世界選手権では3位となってスペインに初の世界選手権メダルをもたらしたが、ソチ五輪ではSPで3位に立つも惜しいところで総合4位に終わった。
「国にメダルを持って帰ることができなかったのは残念。でもこのスポーツは、毎回表彰台に乗ることができるものではない」
そうコメントしたフェルナンデスはソチ五輪後、平昌五輪まで現役を続けることを表明。トレーニングメイトの羽生を「素晴らしいスケーター」と祝福しながらも、「いつかは彼を追い抜きたい」と野心を見せる。
1月にブダペストで二度目の欧州選手権タイトルを手にしたときは、スペインの国王と女王、首相から祝福の連絡が来た。だがソチで4位に終わった後は、何の連絡もなかったのだという。
「スペイン人にとって、フィギュアスケートはまだまだ注目度の低いスポーツ。もっともっと頑張って、これからたくさんメダルを獲得して表彰台に上がらないと」
と前向きに意欲を口にした。
彼の最大の武器は、フリーにトウループとサルコウの2種類の4回転を合計3回入れられることだ。これらが全て成功すると、合計30ポイント以上の大きな得点を稼ぐことができる。世界タイトルも狙える位置にいる彼が、埼玉でどのような演技を見せてくれるのか楽しみだ。