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ソチで初採用のスキーハーフパイプ。
転向に現役復帰、2人の個性派女子。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2014/02/03 10:40
新種目のフリースタイル・スキーハーフパイプ。活躍が期待される小野塚彩那(左)と三星マナミ。
開幕が迫ったソチ五輪では、12の新種目が実施される。その中には、日本勢の活躍が期待される種目がいくつもある。フリースタイル・スキーハーフパイプもその一つだ。
これまでもオリンピックで行なわれてきたスノーボードのハーフパイプと同様、半円形のコースを滑り、空中に飛んで技を披露する採点競技だ。
そして女子には、対照的な経歴を持ちながら、新種目だからこその、同じ思いを抱く2人の選手が出場する。
エースと目されるのは、25歳の小野塚彩那である。昨年3月の世界選手権では銅メダルを獲得。また、今年1月12日にアメリカで行なわれたワールドカップでも2位に入っている。
もともと、アルペンスキーの選手だった小野塚がハーフパイプに転向したのは2011年。この時期、ハーフパイプがソチ五輪で採用されると発表された。それを聞いた小野塚は「やるからには世界を目指したい」そんな思いから転向を決断する。
遠征は自己負担、強化体制も未整備で、全て手探りだった。
転向後、小野塚はアルペンスキーで磨いた技術をベースに、すぐさま頭角を現した。'11年の冬には早くもワールドカップに出場、'12年夏には3位となる。そして、先に記したように、世界選手権で銅メダルという成果をあげたのである。
新種目だけに、競技に打ち込むのも容易ではなかった。当初、遠征費は全額自己負担。世話してくれる人がいるわけではないから、手配も全て自分でやらざるを得なかった。強化体制が整っているわけでもないから、遠征先では海外の関係者に拙い英語で話しかけ、どのようにすれば上達できるか、勉強することもあったと聞く。
そうした苦労は少なくなかった。だが一方では、自らそうした体験をしたこと、道を切り開いてきたことが強みとなっているようにも見える。
そんなたくましい雰囲気を漂わせる小野塚はこう語っている。
「何よりもオリンピックでメダルを獲ることを優先します」