詳説日本野球研究BACK NUMBER
二軍組と新人組の確率は1対3?
OPS、WHIPで探す2014年の新人王。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/02/02 08:15
昨年5月12日、プロ初球打席初球本塁打という新人野手としては史上初の快挙で沸かせたロッテ・加藤翔平。CS初打席でもホームランを放った“持ってる男”の今後や如何に。
パ・リーグの顔ぶれは意外?
パ・リーグ上位の顔ぶれはアマチュア時代を知る者にとっては意外だ。戸田、榎下、新垣はストレートこそ速いが、コントロールに難がある未完の大器タイプと認識されていたからだ。それが投手の安定感を表す指標「WHIP」で上位に入っている。
この中では榎下が与四死球率2.29、奪三振率11.78と他項目の数値も高く注目できる。<奪三振÷与四球>で表すK/BBは5.14と、数値だけなら田中将大クラスの高さ。一軍では十分に力が発揮できていないが、150km級のストレートと鋭く落ちるフォークボールのキレ味はリリーフ投手の適性を思わせる。遅咲きの開花を期待したい。
亜細亜大で通算35勝19敗、防御率1.31を記録、さらに東都大学リーグ通算22完封、420奪三振を引っ提げプロ入りした東浜巨は期待を裏切った形だが、盛り返す要素は多い。
昨年のフレッシュオールスター前、小川一夫・ソフトバンク二軍監督(当時)に話をうかがうと、各種の身体・運動能力の検査で数値が軒並み下位だったらしい。
亜大1年の春からエースとしてマウンドに上がり、じっくり体作りをする時間がなかったというのが斎藤佑樹(日本ハム)にも共通する弱点である。そこでチームは、まずはストレートが150kmに達することを目的として体作りに励ませ、それと並行してファームの試合で実戦経験を養わせるという逆襲のシナリオを描いた。
ファームでは6勝3敗、防御率3.30でWHIPは上々の1.32。シーズン後半の9月23日には4月18日以来の復活登板を果たし、6回3失点の好投でプロ入り初勝利を挙げた。それ以降2勝、3勝と勝ち星を伸ばし、首脳陣の狙いは半分的中したといったところだろう。
セの投手は大竹寛の人的補償の一岡に期待。
セ・リーグでは大竹寛(FA権を行使して巨人に移籍)の人的補償で広島に移籍した一岡竜司がWHIP1.01という見事な数値を残した。K/BBは4.20と上々で、奪三振率11.57、与四死球率2.76と他項目でも高い数値を弾き出している。永川勝浩→今村猛→ミコライオという勝利の方程式が予想されている広島だが、永川、今村に絶対的な安定感がないので勝ちゲームのセットアッパーに抜擢される可能性は十分ある。
育成ドラフト出身選手の頑張りも目立った。昨年、ロッテの西野勇士が規定回数到達まで4回3分の1に迫る頑張りで9勝を挙げているが、今年は土田、冨田、徳山が第2の西野をめざす。
この中で目立つのが土田の奪三振の多さ。与四死球率は4.63と粗さが目立つが、奪三振率11.18はリーグでも上位。育成出身のハングリー精神を見せつけてほしい。