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U-22選手権で敗れたリオ五輪世代。
世界一を視野に入れた彼らの“当然”。
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2014/01/25 08:15
87分に交代で退くまで、ピッチで必死の守備を見せた原川力。京都から愛媛に期限付き移籍し、来季はさらなる出場機会の確保を期す。
さすがに悔しそうな表情を見せた。涙を見せる者こそいなかったが、一様に選手達の口から出て来たのは「同じ相手に二度負けてはいけない」というフレーズだった。
AFC U-22選手権は新設の大会で今回が第1回、今後隔年開催が予定されている。この世代のアジアでの頂点を決める大会であると同時に、2回に1回は五輪アジア最終予選を兼ねることが決まっている。つまり、次に行われる第2回大会はリオ五輪の予選を兼ねることになる。その第2回大会も今回同様に西アジアでの開催が決まっており、よって、今大会は絶好のシミュレーションだったのだ。
手倉森誠監督は就任からおよそ2週間で初陣を迎えることとなった。メンバー選考に関わる時間的余裕も無かった。
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メンバーは次の五輪世代である1993年生まれを最年長とするグループで編成された。オマーン、中国、日本以外は、先々の強化よりも今大会でのタイトルを狙いに来ていたようで、'91年以降生まれの選手達で構成してきたのは意外でもあった。
過去同様リオ五輪でもアジアからの出場は3枠であると考えられることから、今大会は3位以上の結果が求められた。仮に準決勝で敗れても、3位決定戦が消化試合とならないかなり珍しいケースを経験する予定だった。
現代表はリオ五輪出場に強い意欲を見せる。
だが、敗れたのはその一歩手前の準々決勝。
2年後に同じ結果が出てしまえばリオ五輪出場はかなわない――という厳しい結果だ。奇しくも相手は、'12年にAFC U-19選手権で世界への切符をかけた準々決勝で敗れたイラクだったため、冒頭のフレーズが口をついたわけだ。
今大会に臨む選手達を取材していて、過去の五輪代表と決定的に違いを感じたのは、五輪への高いモチベーションだ。
北京五輪の時に、代表の選手達から良く聞こえて来たフレーズは「五輪ではなくてワールドカップに出ないと意味がない」「(アマチュアスポーツと違い)サッカーの場合五輪は位置づけが微妙」というものだった。世代が限定されていること、欧州の主要国からエース選手は出場しないことなどがその理由だった。
だが、それでも北京五輪の惨敗とあの悔しさが成長のきっかけだったと、今になって岡崎慎司や、長友佑都らがことあるごとに口にすることも、現代表の高いモチベーションに影響を与えているのだと思う。また、ロンドン五輪で4位という結果を残した前代表チームの活躍を間近に見た、ということもあるのだろう。例えばJリーグの柏でプレーする、この世代の不動の左SBともいえる山中亮輔は「(ロンドン五輪の主力で柏の鈴木)大輔さんからも絶対に行くべき大会だと聞いた」と明かす。