Jをめぐる冒険BACK NUMBER
U-22アジア選手権、得点王を狙う
手倉森ジャパンの小さなエース。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byGetty Images
posted2014/01/20 16:30
10番を背負う、小さなリーダー中島翔哉。東京VからFC東京への移籍はホームを同じくする禁断の移籍だが、本人にとってはJ1への大きなステップアップになる。
出発を控えた1月5日、都内のホテル。初めて顔を合わせたU-21日本代表の選手たちを前にして、手倉森誠監督が問いかける。
「万全の状態で来たやつ、いるか?」
このとき、真っ先に手を挙げたのが、このチームで10番を託された中島翔哉(東京V)だった。
7日後の12日、イランとの初戦後の取材エリアで、そのときのことを思い出しながら、指揮官が微笑む。
「練習を見ていて本当に調子が良かったから、アタッカーとして起用してみようかなと思ったんだ。そうしたら、見事に期待に応えてくれたよ」
終わったばかりのゲームは、先制され、一時は逆転したものの後半に入ってひっくり返される苦しい展開だった。だが66分、ペナルティエリア左外から3-3の同点とするミドルシュートを叩き込んだのが、中島だった。このチーム一小柄なアタッカーについて語る指揮官の表情は、実に嬉しそうだった。
2年後のリオ五輪をかけた戦いが始まった。
オマーンで開催されているU-22アジア選手権。新設されたこの大会に、2年後のリオデジャネイロ五輪出場を狙うU-21日本代表が参戦している。
五輪代表の本格的な立ち上げとなり、いよいよ金メダルを目指す旅が始まった。選手たちにとっては、代表への生き残りを懸けた戦いの幕が切って落とされたことも意味している。
イラン、クウェート、オーストラリアと同居した決して簡単ではないグループを、U-21日本代表は1勝2分けの成績で切り抜け、2位で決勝トーナメント進出を決めた。
イラン戦は3-3。メンバーを7名入れ替えて臨んだクウェートとの第2戦は0-0。勝利が義務付けられたオーストラリアとの第3戦は、4-0で完勝してグループリーグ突破を決めた。この試合で、先制点と4点目のPKを決めたのも、中島だった。