日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
「団結力」で閉塞感を反動に変える。
ザックが惨敗の遠征を静観した理由。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2014/01/13 08:11
批判を受けることもありながら、W杯へ向けて着々と手を打ってきたザッケローニ。全ての審判が下る本大会まで、あと半年だ。
ザックジャパンの一番の武器って何だろうか。
アルベルト・ザッケローニの言葉を借りれば、「スピードに乗った状態のまま、テクニックを高い精度で活かすことができる」ことが答えに近い感じはする。
何人もの選手が絡みながら、パスとテクニックとスピードでゴールに向かっていく。でもそれは言うまでもなく「連動」がなければ成り立たない。
攻ばかりでなく、守においても然り。じゃあその「連動」を生み出すものは何かと言ったら、これも指揮官の言葉を借りれば「団結力」「まとまる力」になるだろう。
半年後に控えるブラジルW杯でザッケローニは、日本の「団結力」を最大限に発揮したいと考えているように見える。それが大会の躍進につながるカギになる、との意気込みも伝わってくる。
代表の選考基準に「和を乱さない」という項目。
団結力――。
イタリア人指揮官が、ずっとこだわってきたことだ。
メンバーの選考基準に「チームの和を乱さない」という項目を公言して入れているのも特徴的。練習を見れば選手たちと積極的にコミュニケーションを図っているのもよく分かった。
一方でザッケローニにはメンバー固定化の傾向があり、控え選手のモチベーションが低下しないか強く懸念されたこともしばしばある。ただ練習自体はメンバーを固定化せずにシャッフルしていて、選手を特別扱いしないのもまた確かなことである。本田圭佑であろうが、チーム最年長の遠藤保仁であろうが、納得がいかないプレーをしたときは強い口調でたしなめている。
メディアに対して選手個人の名前を挙げて非難したことも、筆者の記憶にはない。彼なりに「団結力」を大事にしてきたことは十分に窺える。