オフサイド・トリップBACK NUMBER
オッズで見るW杯組合せの“死地度”。
日本のGL突破2.25倍は高い? 低い?
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph byAP/AFLO
posted2013/12/11 16:30
コンフェデ杯の時にも懸念された反対デモを避けるため、リゾート地コスタドサウイペで行なわれた抽選会。本大会までに諸問題は解決されるのか。
「ちょっとちょっとちょっと、そのグループは危険です。どうか他のチームを選んでください……」
2013年12月6日、イギリス時間の午後5時過ぎ。ブラジルのサルバドールに派遣されたBBCのレポーターが、祈るような声でマイクにささやく。テレビの画面では、1966年のW杯イングランド大会、西ドイツとの決勝でハットトリックを決めたジェフ・ハーストが、グループDに入る最後のチームを選ぼうとしていた。
だが次の瞬間に聞こえてきたのは、大きなため息だった。ウルグアイ、イタリア、コスタリカと同じグループDで戦う最後のチームとして、ハーストが選んだのは、よりによってイングランドだったからである。イングランドサッカー界のレジェンドは、今回の抽選会では母国を救えなかった。
アマゾンで待ち受ける、不快な湿気と高温。
W杯の組み合わせ抽選は、世界各国に様々な反応を巻き起こしている。
たとえばイングランドでは、悲観的な報道が大半を占めるようになった。
ウルグアイ代表のルイス・スアレスは、目下リバプールで絶好調。彼がゴールを決めるたびに、新聞各紙はウルグアイの脅威論を書き立てる。
他方、イタリアは勝負強さに定評があるし、W杯でも過去に4度優勝した経験を持っている。昨季までマンチェスター・シティに在籍していたバロテッリの印象も、いまだに強烈だ。
悲観論に輪をかけるのは、気候と移動距離の長さだ。グループリーグの皮切りとなるイタリア戦は、アマゾンのマナウスで行なわれる。FIFAのブラッター会長は「ミス・アマゾン」を伴って抽選会場に姿を現したが、現地で待ち構えているのは美女ではなく、不快きわまりない湿気と高温だ。湿気や気温、疲労の蓄積はW杯が開かれるたびに必ず口にされるエクスキューズだとしても、不安を抱く気持ちは理解できる。