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オッズで見るW杯組合せの“死地度”。
日本のGL突破2.25倍は高い? 低い?
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph byAP/AFLO
posted2013/12/11 16:30
コンフェデ杯の時にも懸念された反対デモを避けるため、リゾート地コスタドサウイペで行なわれた抽選会。本大会までに諸問題は解決されるのか。
ブックメーカーのオッズは、3強をどう見たか。
ただし、イギリスの3大ブックメーカーの一つ、ウィリアム・ヒルが発表した予想オッズはそれほど悪くない。3強が揃い踏みする死のグループだとはいえ、イングランドがグループリーグを突破する確率(グループリーグで優勝する確率ではなく)は、イタリアやウルグアイとさほど変わらないからだ(イタリア:1.33倍、ウルグアイ:1.44倍、イングランド:1.67倍、コスタリカ:13倍。オッズは12月10日時点、以下同)。
また気候や移動距離の長さに悩まされるのは、イングランドに限った話でもない。イングランドはグループリーグで3183キロを移動しなければならないが、ウルグアイは4693キロである。
ましてや今回は10月時点でのFIFAランキングを基準にシードが決められた結果、グループD以外にも死の組が生まれている(そもそも死の組は、W杯よりもユーロの方が生まれやすかったことを考えれば、これは新たな現象だと言える)。
現にチームの顔ぶれから判断すれば、コスタリカという「一弱」のいるグループDよりも、ドイツ、ポルトガル、ガーナ、アメリカが名を連ねるグループGの方が死の匂いに満ちている。
実は最激戦区? グループG、激闘の予感。
たしかに予想オッズ上はドイツとポルトガルの2強になっているが、4番手までの賭け率の開きは少ない(ドイツ:1.14倍、ポルトガル:1.36倍、ガーナ:3.75倍、アメリカ:4倍)これは各チームの実力差が接近していることを反映している(4チームのFIFAランキングを平均した値は、グループGが11.25で一番高い)。グループGでは、楽に勝ち点を稼がせてくれるチームがいないために気の抜けない試合が続く。決勝トーナメントに駒を進めた時には、疲労の蓄積や負傷の続出で青息吐息という状況にもなりかねない。
グループGは激闘を予感させる伏線にも事欠かない。ドイツとポルトガルは昨年のユーロでも好勝負を繰り広げたし、クリスティアーノ・ロナウドが国際大会で毎回見せる表情には、いやがうえでも悲壮感を煽る効果がある。ドイツ対アメリカ戦では、新旧ドイツ代表監督の師弟対決(レーブ対クリンスマン)が実現。アメリカはガーナに対し、2010年の南ア大会、決勝トーナメントの1回戦で敗れた雪辱を果たそうとするはずだ。