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プロ野球球団がもし移転すれば……。
好条件の新潟市は“第2の札幌”か? 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byNaoya Sanuki

posted2011/01/05 10:30

プロ野球球団がもし移転すれば……。好条件の新潟市は“第2の札幌”か?<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

2009年の夏に完成したHARD OFF ECOスタジアム新潟。最新の人工芝を採用し、観客収容人員は3万人。内野席にある3層の客席が特徴的です

 日本最後の「フランチャイズ可能性都市」。

 それは、新潟県新潟市だと思う。

 理由として、まず人口が多いことが挙げられる。

 最近の成功例のひとつ、楽天イーグルスがフランチャイズを置く宮城県仙台市の人口は約103万人。ちなみに、宮城県は約234万人だ。

 それに対し新潟市は約81万人。県全体にスケールを広げると238万人となる。仙台市、宮城県と比較しても、ほぼ遜色はないといえるのではないだろうか。

 さらに、新潟県を含む北陸地方は、楽天創設以前の東北地方と同じく「プロ野球団空白地帯」である。

根強い高校野球人気がプロ野球進出のベンチマークに。

 好条件は、まだある。新潟県は、高校野球が非常に盛んな地域だ。

 全国高校野球選手権、つまり夏の甲子園への参加校数も宮城県の78校をはるかに上回る96校。これは全49地域の中でも15番目に多い。また、ベースボール・マガジン社の創業者が新潟出身という縁で、毎夏、同社からは新潟大会展望号を発行している。

 加えてこれも余談になるが、新潟は漫画家の水島新司の出身地でもある。

 その縁もあって、新潟市内には「水島新司マンガストリート」がつくられ、代表作『ドカベン』の主人公、山田太郎のブロンズ像などが飾ってある。

 2009年夏、そんな新潟県民の高校野球熱をさらに過熱させる出来事がおきた。

 県の代表校である日本文理高校が、準優勝ながら初めて甲子園の決勝の舞台に立ったのだ。これまで甲子園における勝率が全国最低だったため「最弱県」の汚名を冠せられていたが、この快挙によってそれも一気に返上した。

 ホーム球場となるだろう、'09年7月に完成したばかりの「HARD OFF ECOスタジアム新潟」の立地条件も問題ない。新潟駅からバスで約20分、タクシーなら15分で着く。

 そして何より、メジャーリーグの球場を彷彿とさせる、外野後方が大きく空いたスタジアムのつくりは、全国有数の美しい景観を持つ球場として北陸地方の名物になるに違いない。

 同スタジアムは昨年、オールスターが初開催され、今年もプロ野球公式戦が4試合予定されている。

【次ページ】 アルビレックスの成功が証明したスポーツ熱の高まり。

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