野ボール横丁BACK NUMBER
プロ野球球団がもし移転すれば……。
好条件の新潟市は“第2の札幌”か?
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byNaoya Sanuki
posted2011/01/05 10:30
2009年の夏に完成したHARD OFF ECOスタジアム新潟。最新の人工芝を採用し、観客収容人員は3万人。内野席にある3層の客席が特徴的です
アルビレックスの成功が証明したスポーツ熱の高まり。
Jリーグの成功例も後押しになる。
仙台市が楽天創設の前にJリーグのベガルタ仙台で成功していたように、新潟市も'02年から4年連続でJリーグ観客動員数ナンバー1を記録したアルビレックス新潟の成功例がすでにある。
参考にすべきお手本が身近にあるだけでなく、地域住民の「潜在能力」もすでに実証済みなわけだ。
一時期、住生活グループが横浜を買収し、ホームを新潟に移転するのではないかと噂されたが、交渉がまとまらず結局は立ち消えてしまった。
ただ、最近こんな新潟野球関係者の話も聞いた。新潟は、表面上はプロ野球団の誘致を目指していると言ってはいるものの、県サイドの負担があまりにも大きくなるようだと誘致は難しいと、ここにきて及び腰になっている、と。
もちろん球団サイドも相応のリスクを背負う覚悟が必要だろう。新潟には、それだけの価値が十分あるのだから。
好条件揃いの新潟は“第2の札幌”になる可能性を秘めている。
札幌市は、そもそもは西武が準フランチャイズ化をねらっていた都市だが、「二股」ではなく「一途な愛」を貫いた日本ハムが後からやってきて略奪してしまった形となった。
結果、日本ハムの札幌移転は当初の予想を覆し、大成功を収めることになる。そして、北海道での西武と日本ハムの人気は今では完全に逆転してしまった。
新潟も、移転となるとさまざまクリアすべき問題があるのは重々承知の上だが、ある意味……早い者勝ちである。
米どころであり、酒どころであるというのもまたいい。日本人のアイデンティティを大いに刺激する。
寒い春先や秋口は熱燗を、蒸し暑い夜にはお冷をやりながらプロ野球を観戦する。実におつではないか。
善は急げ。
どこか、英断を下す球団はないものだろうか。