Number Do MoreBACK NUMBER
<手続き完了までに6時間!?> 過熱するエントリー合戦を考える。
text by
柳橋閑Kan Yanagibashi
photograph byNanae Suzuki
posted2013/10/22 06:01
PC、タブレット、スマホがないと出場権が取れない!?
実際、6月末にあったつくばマラソンのエントリーではシステムトラブルは回避された。とはいっても、それはあくまでRUNNETというインターフェイスが改善されたということであって、エントリーの過当競争という大本の問題が解決したわけではない。この状況をめぐりランナーからは議論が百出している。
「家中のPCとタブレットとスマホを並べて出場権ゲットしました。自己防衛が必要ですよ」「エントリーはマラソンの“ゼロ関門”。途中で嫌になるような中途半端な人は参加しなくていい」という市場原理主義的な人もいれば、「PCの前に長時間座るのが出場の努力だなんて虚しい」「早い者勝ちはやめにして抽選にすべき」「ボランティアに参加した人に優先枠を」といった民主社会主義的な人もいる。一方、湘南国際の河野太郎実行委員長は「本当に出たいランナーのチャンスが減ってしまう」という理由で抽選には反対している。
田舎の小さな大会など、多様な魅力に目を向けては?
どの考え方にも一理あり、正解はないように思う。そんな中、あるベテランランナーが示唆的な話をしてくれた。
「ブランド化した大会は、エントリーそのものが勝負になってしまっていますよね。本当にそこまでして人気大会に出たいのでしょうか?
いまや全国でマラソン大会は1700もあります。田舎の小さな大会の魅力を探すとか、もうちょっと多様な方向に目を向けてもいいと思うのですが」
先着順は熱意の表れであるという価値観に賛同するなら、エントリー合戦を戦い抜く覚悟を決める。そうでなければ別の選択肢を探る─―現時点ではそうするしかないのかもしれない。いずれにしても、ヒートアップした心を鎮め、いまいちど自分が走る意味を見つめ直すべきときが来ている気がする。少なくとも僕はエントリーに6時間かけるより、外へ走りに行くことを選びたいと思う。
RUNNETエントリーでイライラしないためのTIPS
●予めサイトにログオンし、エントリーページに進んでおく。家族・仲間エントリーの場合は事前登録を。
●「混雑しています」という画面が表示されても、イラッとせずにLSDのつもりでじっくり待つこと。むやみに再アクセスをクリックしてもサーバーをいじめるだけ。ちゃんと順番でつないでくれるそうです。
●複数台待ちでサーバーを攻撃することは結局、自分の首を絞めます。
●「PCよりスマホのほうが早くアクセスできる」というのは、昔「チケットガイドの電話予約は公衆電話のほうがつながりやすい」といわれたのと同様、都市伝説だそうです。