日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
ザックジャパンに招集されるべき男。
玉田の経験値はアジア杯で生きる!
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2010/11/27 08:00
Jリーグ初優勝に涙する玉田。日本代表に初招集されたのは2004年のジーコ監督時代。ドイツW杯ではブラジル戦でゴールも決めている
ストイコビッチも岡田武史もそのキープ力に惚れ込んだ。
そして特筆すべきは、彼のキープ力だ。一度ボールを受け取ったら簡単に失わないため、タメをつくって全体を押し上げることができた。玉田に対する信頼感があるからこそ、周囲も迷わず前に向かって迫力ある攻撃ができたのだ。
玉田はこのキープ力を強く意識してきた。
昨年、彼からこんな言葉を聞いたことがある。
「ストイコビッチ監督からもボールをキープして失わないようにすれば、チームを落ち着かせることもできるし、攻撃もしやすくなると言われているから」
ストイコビッチだけでなく、日本代表を率いた岡田武史もまた玉田のスピード、キープ力を高く評価していた。
ボールを収めてキープできるストロングポイントに目をつけていたからこそ、しばらくの間、玉田を1トップで起用してきたのだ。身長173cmと小さな体ながら、相手にひじ打ちされようが足を蹴られようが玉田は体を張って不慣れなポストプレーをこなし、その役割を果たしていた。
中東の独特の雰囲気がザックジャパンの敵となる。
W杯が終わってザッケローニ体制になって以降、玉田は日本代表に復帰していない。
しかしながら、目前に迫っている1月のアジアカップではメンバー候補にリストアップされて然るべき存在ではないだろうか。
日本が弱者として臨む世界の戦いと、日本が強者として臨むアジアの戦いは違ってくる。アジア諸国が日本を相手にした場合、多くの対戦相手が引いてカウンターという戦術を取るのは間違いない。何より、前に人数をかけるときにボールを失ってしまえばカウンターの餌食となってしまうだけに、ボールをキープできるよう注意しなければならない。
今回は中東・カタールでの開催でもあり、独特な雰囲気に包まれる。
前線の若いメンバーでW杯アジア予選をコンスタントに戦い抜いたのは岡崎慎司ぐらい。そういった意味ではザックジャパンの中心となる本田圭佑も香川真司も、A代表ではアジアの洗礼を受けているとは言い難い。