日本代表、コンフェデ道中記BACK NUMBER
コンフェデ3戦全敗は屈辱か、当然か?
日本代表に欠けた競争原理と危機感。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2013/06/30 08:03
「我々にとってこの大会は非常に有益だったと思う。コンフェデ杯は国際経験を積める場であり、これまでの国際経験の差が最終的な結果だ」とブラジルでの記者会見で語ったザッケローニ監督。
チームを前進させる原動力となる、危機感と競争原理。
ザック率いるチームは、結成直後の2011年1月にアジアカップを迎え、同年9月からワールドカップ3次予選へ突入した。3次予選突破後の'12年6月からは、最終予選を戦ってきた。
公式戦の合間に組まれたテストマッチは、チームの方向性を再確認する機会との位置づけを持っていた。結果を求められる試合を絶えず戦ってきただけに、チームの成熟度アップが優先されたのは避けがたいところがある。
コンフェデ杯を終えたこれからは違う。結果は最優先されない。その代わりに、競争原理が持ち込まれなくてはならない。
極端な言い方をすれば、ここまでの日本代表は個人の意欲によって成り立ってきた。それぞれの選手がクラブレベルで自らを磨くことが、チームを前進させる原動力となってきた。
だが、コンフェデ杯で日本が敗れたチームは、主力クラスにもシビアな視線を向けている。その結果として、自らの立場に対する危機感に違いが生じていると思うのである。日本を実力で上回る国の選手たちが、日本の選手より常日頃から強い危機感を抱いているのである。
これからは海外組も国内組も横一線で考えるべきだ。
コンフェデ杯で3連敗に終わっても、「海外組はもっとできるはずだ」という意見は根強い。僕自身も同じ意見である。ただ、彼らが胸に秘める向上心や野心に寄り掛かるのは、もう終わりにしたい。
海外組をさらに高いレベルへ引き上げるためにも、アンタッチャブルな存在にしてはいけない。同じポジションに可能性を秘めた選手がいれば、国内組であっても招集すべきである。招集するだけでなく、ピッチに立たせるべきだ。これまでレギュラーでプレーしてきた選手に、競争相手がいることをはっきりと認識させていくのだ。
コンフェデ杯のチームに物足りなさを感じたとしたら、そこまでのモチベーションしか与えられなかったからである。対戦相手を上回る厳しさが、メディアを含めた我々には足りなかった。
たったひとつのプレーが勝負を分けるという現実を、選手たちの胸に刻んでこなかったのだ。
メキシコ戦を終えた香川は、「相手のほうが勝ちたい気持ちは強かった」と話した。消化試合と言っていいゲームで、メキシコはなぜ勝利への意欲をかきたてたのか。ワールドカップ予選でいまひとつ調子が出ていない彼らは、国内世論の激しい向かい風にさらされていたからだ。
ワールドカップまでの残り1年で、ザックと選手たちに対してどれだけ厳しく追及していけるのか――。
それこそは、遥かなる南米大陸で抱いた想いの僕なりの核心である。3連敗を未来へつなげるべきなのは、選手だけではない。