日本代表、コンフェデ道中記BACK NUMBER
コンフェデ3戦全敗は屈辱か、当然か?
日本代表に欠けた競争原理と危機感。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2013/06/30 08:03
「我々にとってこの大会は非常に有益だったと思う。コンフェデ杯は国際経験を積める場であり、これまでの国際経験の差が最終的な結果だ」とブラジルでの記者会見で語ったザッケローニ監督。
遠い、疲れると嘆いた10日ほど前の自分を、僕は心の底から罵倒したくなった。
日本がグループステージ最終戦を終えた2日後の24日深夜、サンパウロ発ドバイ行きのフライトでブラジルをあとにした。往路と同じく14時間半かけて中東随一のハブ空港へ戻り、4時間弱のトランジットで日本行きの機内へ乗り込む。
ブラジルヘ到着した際は、ここから2時間ほどで目的地に到着した。日本へ帰国する今回は、10時間弱のフライトである。ドラえもんの助けを借りたいのは、ドーハからブラジルへの道のりではなく、まさにこの瞬間だった。
東京都内の自宅へ辿り着いたのは、出発から実に34時間後だった。
南米は遠い。遥かなる大陸である。
本田、香川ですらも所属チームでは満足のいく結果を出せていない。
「代表に選ばれるのは100パーセント確実なものではないのでね。代表でポジションを確保するには、シーズンを通して良いプレーを見せなければならない」
日本対イタリア戦を翌日に控えた記者会見で、ダニエレ・デロッシがこんな話をしている。
「ローマでの成績が良くなかったことで、代表のポジションを失う恐れを感じていたか?」というイタリア人記者の質問に答えたものだった。試合に無関係なことを聞かなくてもいいのにと、会見場にいた僕は少しばかり白けた気持ちになった。
日本が3連敗に終わったいまは、違う思いにとらわれている。
マンチェスター・ユナイテッドはプレミアリーグを制したが、香川真司はポテンシャルを存分に発揮したか。出場試合数もゴール数も、満足のいくものではなかっただろう。
本田圭佑が所属するCSKAモスクワは、リーグとカップの2冠を達成した。チームに不可欠な選手だった一方で、彼は強豪相手のゲームでは必ずしも結果を残していない。
香川と本田だけではない。日本国内では及第点のつけられる活躍も、世界的な視点では平均的水準かそれ以下にとどまる。そして、日本がコンフェデ杯で対戦した国には、日本人選手より高い判断基準のなかで結果を残している選手が揃っていた。
香川や本田はもちろん、コンフェデ杯で厳しい評価を受けた吉田麻也らが、日本代表にとって欠かせない選手なのは間違いない。だからといって、彼らを競争のない世界へ閉じ込めてしまうのはどうだろう。デロッシと同じ質問を受けたときに、彼らは同じように答えるか?
僕には疑問なのだ。アルベルト・ザッケローニ監督と僕を含めたメディアが、彼らに頼っていることが。成長を促すための競争を、彼らに求めてこなかったのではないかと。