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“あえて助けない”チームワークを!
福西崇史が考える日本代表の課題。 

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細江克弥

細江克弥Katsuya Hosoe

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photograph byAsami Enomoto

posted2013/06/11 11:15

“あえて助けない”チームワークを!福西崇史が考える日本代表の課題。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

福西氏は、「ボールを持っている選手にキープ力がある場合、あえてその選手をサポートせず、別のスペースに走る」といったプレーの重要性を力説した。

 昨年の秋、シュツットガルトで岡崎慎司から聞いたいくつかの言葉が強く印象に残っている。

「組織のバランスが崩れたら『ヤバい』と思うのは、たぶん僕らが日本人だからなんですよね」

「サイドバックがボールを持った時に、僕らの感覚からすると、ボランチが真横にいてサポートすることが普通じゃないですか。でも、ウチもそうだし、こっちでも多くのチームの場合はそれが普通じゃない」

「ただ、強いチームはちゃんとやってるんですよ。バイエルンと試合した時に、ボランチがサイドバックの真横でパスを受けようとしていて、『ああ、やっぱり普通はこうだよな』って思いました」

日本人にとっては当たり前の定石もドイツではそうではない!?

 日本人選手の多くは本質的かつ習慣的に「組織のバランス」に敏感である。サイドバックがボールを持ったら、ボランチが真横の位置でパスコースを作るのがサッカーの定石。それがサッカーにとって必要な動きであることは強者(例えばバイエルン)を見れば明らかだが、ブンデスリーガでさえも、一部を除いてはできていない。

 だから、これが自然にできる日本人選手、あるいは日本サッカーは組織化された現代サッカーに必要な要素を満たしていると結論づけることができる。その一方で浮き彫りになる課題は、バランスの取れた組織と組織の激突において相手の組織を崩す“個の強さ”であると岡崎は言う。

「結局、チームの中で最もうまい11人が試合に出ると思うんですよ。でも、“うまい”にもいろんな種類があって、裏に抜けるとか、足下が巧いとか、パスをさばけるとか、バランスの取り方が絶妙とか。それが、いわゆる“個”の強さですよね」

 この話、本田圭佑が発した言葉のニュアンスに限りなく近い。本田は言った。

「最後は個で試合を決することがほとんどなので。もちろん日本の最大のストロングポイントっていうのはチームワーク。でも、それ(チームワーク)は生まれもって、持っている能力なので」

世界に立ち向かう武器とすべき理想のチームワークとは。

 オーストラリア戦の結果を受けて、日本は5大会連続となるW杯出場を決めた。後味はすっきりしないものだったが、この試合については最低限の結果さえ手にすればそれでいい。問題は1年後の本番で何を成し遂げるかの1点に集約されるが、どうやら、岡崎にも本田にも、おそらく他のチームメートにも「やるべきこと」ははっきりと見えているようだ。

 手に入れたい武器は2つ。「チームワーク」と「個」の強さである。ならばこの2つは具体的に何を意味するのか。今回はまず、「チームワーク」について、自身も2度のW杯を経験している元日本代表MF福西崇史に解説を求めた。W杯に挑む日本代表が築くべきチームワーク、世界に立ち向かう武器とすべき理想のチームワークとは――。

【次ページ】 サッカーが組織化する中、日本人選手が評価される理由。

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