詳説日本野球研究BACK NUMBER

桐光・松井裕樹を見るなら今のうち!!
大注目の春季関東大会、見所を紹介。 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/05/16 10:30

桐光・松井裕樹を見るなら今のうち!!大注目の春季関東大会、見所を紹介。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

5月3日の神奈川県大会準決勝で、1万5000人の観客を集めた桐光学園・松井裕樹。日大藤沢を相手に15個のアウトのうち、12個を三振で奪う圧巻のピッチングを見せる。

 夏の選手権(甲子園大会)まで残すところ80日ちょっと。その出場権を勝ち取る各都道府県大会が最も早くスタートするのは沖縄県の6月22日。夏の戦いは目前に迫っていると言ってもいい。その都道府県大会の前に行なわれるのが関東大会、近畿大会などの地区大会である。

 ここを勝ち上がっても都道府県大会には何の影響も与えない。それどころか強豪校は夏の大会前までハードトレーニングによって選手の調子を落としていく期間である。100パーセントのパフォーマンスより精神的な強さを見極める大会と言ったほうがいいかもしれない。既に終えている四国大会、九州大会以外の日程は次の通りである。

◇北海道大会  5/27~7日間
◇東北大会    6/ 6~5日間
◇関東大会    5/18~5日間
◇北信越大会  6/ 1~4日間
◇東海大会    5/24~3日間
◇近畿大会    5/25、26、6/1、2
◇中国大会    6/ 1~3日間

 この7地区の中で最も注目を集めているのが関東だ。

 選抜大会の優勝校・浦和学院が順当に春季埼玉大会を勝ち進んで頂点に立ち、神奈川では昨年夏、甲子園で旋風を巻き起こした左腕・松井裕樹を擁する桐光学園が準優勝を飾り、ともに関東大会進出を果している。全国的にも注目を集める2校が出場することにより、関東大会は例年以上に関心が高まることは間違いない。

センバツの“2年生エース”を温存した浦和学院。

 浦和学院と桐光学園は、県大会での投手起用が対照的だった。

 浦和学院は選抜大会で5試合、42回を投げた2年生左腕、小島和哉を1試合に投げさせただけで温存し、あとの4試合に先発したのは3年生の山口瑠偉だった。

 山口が選抜で計測したストレートの最速は140キロ。特別速くないスピードだ。埼玉大会準々決勝の春日部共栄戦では与四球9個と制球を乱しているようにピッチングの完成度も高くない。しかし、走者を背負ってからの投球が粘り強く、とくに低めへの意識が高い。春日部共栄戦は延長12回を投げ抜き、36アウト中、フライアウトが17個を数えた。夏は小島との二本柱が期待できそうだ。

 攻撃陣は、優勝した選抜とでは主力選手のポジションが変っていた。三塁を守っていた4番の高田涼太が捕手に、三塁には一塁を守っていた5番木暮騎士が入り、空いた一塁には2年生の酒本祐也が入っていた。適性ポジションを探して就かせる、という本来の目的以外にも、全国制覇したことによる慢心、気の緩みを防ぐためのポジション変更という狙いもあったと思う。

【次ページ】 三塁からコンバートされた高田捕手のリードに不安なし。

1 2 3 NEXT
#松井裕樹
#小島和哉
#山口瑠偉
#木暮騎士
#高田涼太
#江口奨理
#西川元気
#鈴木航介
#重村健太
#武拓人
#水海翔太
#植草祐太
#桐光学園高校
#浦和学院高校

高校野球の前後の記事

ページトップ