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慣習多き日本プロ野球。
変革は個人の熱意で始まる。
~『日本プロ野球改造論』を読む~ 

text by

日比野恭三

日比野恭三Kyozo Hibino

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posted2013/05/17 06:00

慣習多き日本プロ野球。変革は個人の熱意で始まる。~『日本プロ野球改造論』を読む~<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『日本プロ野球改造論 日本プロ野球は、 日本産業の縮図である!』 並木裕太著 ディスカヴァー携書 1000円+税

「プロ野球界は日本の産業界の縮図なのかもしれない」

 日本プロ野球は12の支店を抱える一つの組織――そう考えれば、球団ごとではなく、リーグとして、NPBとして団結すべきではないか。そうすれば収益を伸ばせるのではないか。アメリカではそれが既に行なわれ、成功を収めている……。

 熱弁をふるい、「日米プロ野球の収益格差が15年間で4倍に」という現実を居並ぶオーナーたちに突きつけた。だが、反応は極めて冷めたものだった。

「頬をぶつくらいの気持ちで行ったら、逆にぶたれて終わった感じ。『暖簾に腕押し』という感覚に襲われると同時に、『ここもか』と思いましたね。例えば日本のエレクトロニクス産業も、どこも経営が苦しいのにお互いが削り合っている。アップルだとか韓国のメーカーに対抗するために手をつなごうとはしないんです。プロ野球界は日本の産業界の縮図なのかもしれない、と感じました」

オーナーもNPBも動かない中で支えになるのは、現場の地道な努力。

 人気低迷を憂い、具体策を考え、提案すれども、オーナーもNPBも動かない。さすがに並木の心も折れかけたが、そんな時、支えになったのは球団で働く現場の人々の地道な努力だったという。

「彼らは変わると信じている。彼らの熱さがあるおかげで、僕も信じていけるんです。今は、いくら変えようと叫んだところでケンカにもならないような状況ですが、楽天やDeNAの参入で新陳代謝は少しずつ進んでいますし、パ・リーグの共同会社も生まれた。長い歴史の中で慣習になってしまったことを、一つずつ『なぜ?』と問い直し続けていきたい」

 組織の変革は個人の熱意なくして起こり得ない。仔細なデータをもって語られる『改造論』が球団経営の今を知る参考となるのはもちろんだが、真に読みとるべきは、〈お問い合わせ〉メールからオーナー会議までたどり着いた著者の、貴い「志」ではないだろうか。

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