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世界大会男子初の金メダル獲得!
日本短距離界の超新星、飯塚翔太。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAFLO

posted2010/08/01 08:00

世界大会男子初の金メダル獲得!日本短距離界の超新星、飯塚翔太。<Number Web> photograph by AFLO

高校3年生だった昨年の全国高校総体200mで優勝、新潟国体少年男子A100mも制し頭角を現した飯塚翔太(写真左)。「外国選手に脅威を与えたい」と臨んだ世界ジュニア選手権男子200m決勝では、期待通りの走りを見せつけた

伊東浩司ら先人たちの列に連なり、一歩先に進めるか。

 期待が寄せられる理由は成績ばかりではない。体格をいかしたあの大きな走りを見ると、何かを起こすのではないかと感じさせられる。そんな雰囲気にもある。

 まして、陸上短距離への日本の挑戦を振り返れば、飯塚に託す思いも大きくならざるを得ない。

 そもそも、夏季オリンピックの華と言えば、陸上の短距離種目である。

 北京五輪、100mと200m決勝の夜を思い出す。歓声や拍手、ざわつく音が聞こえていた観客席が静まり返る。約9万人の視線がスタートラインに注がれる。一点に集約される。号砲とともに静寂は歓声に変わる。両種目を制したウサイン・ボルトは、すべての観客の称賛を浴びた。

 あらゆる視線が集まる、凝縮された空間。その舞台に立ちたいと、多くの日本の選手が挑んできた。伊東浩司があと一歩で9秒台突入となる100mでの10秒00で夢を抱かせた。末続慎吾が'03年の世界選手権200mで銅メダルを獲得した。北京五輪では朝原宣治らが4×100mリレーで銅メダルを得た。そんな歴史を重ねながら、五輪の舞台での100m、200mで、悲願の決勝進出は果たせずにいる。

 飯塚は言う。

「いずれはオリンピックに出場できれば」

 先人たちの列に連なり、一歩先に進めるか。

 そのとき、日本の短距離の歴史も変わることになる。

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