オリンピックへの道BACK NUMBER
世界大会男子初の金メダル獲得!
日本短距離界の超新星、飯塚翔太。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2010/08/01 08:00
高校3年生だった昨年の全国高校総体200mで優勝、新潟国体少年男子A100mも制し頭角を現した飯塚翔太(写真左)。「外国選手に脅威を与えたい」と臨んだ世界ジュニア選手権男子200m決勝では、期待通りの走りを見せつけた
逸材が、その片鱗を見せつけた。
7月19日から25日にカナダ・モンクトンで行なわれた陸上の世界ジュニア選手権男子200mで、飯塚翔太(写真左)が金メダルを獲得した。
この種目では日本選手史上初。全種目をとってみても、男子の金メダルは初めてのことだ。
ADVERTISEMENT
ましてや短距離である。日本の選手が厚い壁に阻まれてきた歴史を考えれば、ジュニアのカテゴリーとはいえ、十分称賛に値する。
飯塚は7月28日に帰国したが、帰国したての疲れも見せず、口にした言葉には充実感があった。
「日本人でもできることを見せられました」
アジアの選手としてただ一人進んだ決勝では、3番目に速いスタートを決めると、後半に加速。残り50mあたりで抜け出すと、1位でゴール。タイムは20秒67、2位に0秒22の差をつけての優勝だった。
「金メダルを取れるなんて、最高の気分です。直線に入ったときに、勝てると思いました。ゴールしたときは、勝っちゃったんだなあ、という感じでしたが、ウイニングランをしているときに、優勝したんだという実感がわいてきました」
レース後の言葉である。
高校時代には「まるでボルトのようだ」と評された。
現在、中央大学1年の飯塚は、早くから将来を嘱望されたスプリンターである。
小学生の頃から全国大会に出場、中学生のときにはジュニア・オリンピック200m優勝など、注目を集める存在になっていた。
高校入学後も全国大会で活躍。高校3年の全国総体200m、国体100mで優勝を飾った。184cmの恵まれた体格もあって、「まるでボルトのようだ」と評される存在になっていた。
今春、中央大学に進むと、5月3日の静岡国際の200mでは、20秒58と、自己ベストを0秒43も縮める快走を見せる。
この上昇曲線のまま出場した世界ジュニア選手権で、頂点に輝いたのだ。
まずは順当な足取りで階段を上ってきた飯塚を、短距離の関係者も、「器が違います」「ロンドン五輪にも間に合うのでは」と語り、 強化委員会副委員長の原田康弘氏もこのように称賛する。
「世界大会男子初の金メダルという快挙は、今後の日本陸上界短距離のより一層の活躍につながるものと確信しています」