濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
シウバや五味ら馴染みの顔が勢揃い。
“地元仕様”の3・3UFC日本大会。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byGetty Images
posted2013/02/17 08:02
昨年、11月に行なわれた「UFC on Fuel TV6」でマック・ダンジグ(写真左)に判定勝利を収めた五味隆典。UFCでの成績は3勝3敗となっており、日本大会で勝ち越しが期待される。
昨年に続き、今年も世界最大の格闘技イベントが日本上陸を果たす。
3月3日、さいたまスーパーアリーナで開催される『UFC JAPAN 2013』だ。
JR山手線車内でもCMを流すなど、プロモーションの力の入れようは昨年以上。UFCの日本定着は確実に進んでいると言っていい。
今回のメインイベントはヴァンダレイ・シウバvs.ブライアン・スタン。
ノンタイトル戦だから、フランク・エドガーvs.ベンソン・ヘンダーソンのライト級タイトルマッチが行なわれた昨年に比べると“格落ち”ではある。ただ、それを気にするファンはほとんどいないだろう。かつてPRIDEで我々を熱狂させたシウバの“凱旋”には、やはり胸が踊る。
PRIDE、K-1……かつてのスターが集う対戦カード。
セミファイナルでは2001年にK-1ワールドGPを制したマーク・ハントがステファン・ストルーブと対戦。勝ったほうがヘビー級タイトル挑戦者として浮上する可能性もある重要な一戦だ。
さらに五味隆典vs.ディエゴ・サンチェス、岡見勇信vs.ヘクター・ロンバード、キム・ドンヒョンvs.シアー・バハドゥルザダと日本人、韓国人選手の試合がアンダーカードにラインナップ。福田力と水垣偉弥も昨年に続いて出場、廣田瑞人と徳留一樹は今大会でUFCデビューを果たす。
完全にアジア向けのカード編成だ。
UFCアジア・マネージングディレクター、マーク・フィッシャー氏の言葉を借りれば「日本らしさたっぷりの、世界クラスのカード」である。
開催国ごとにローカライズされた大会の構成。
今回のようなローカライズは、近年のUFCの傾向でもある。
昨年11月に開催されたマカオ大会にも、日本人選手をはじめアジア系ファイターが多数出場。いまや恒例となったブラジル大会には、ブラジリアン・ファイターが続々と出場する。“ご当地ファイター”の出場で、世界各地でUFC人気を高めていこうというわけだ。同時にUFCはフライ級や女子部門も新設。活動の枠を“場所”と“選手層”二つの面でさらに拡大しようとしている。
日本で大会を行なうにあたって、シウバや五味の起用は重要なものだ。格闘技ブームが去った日本でビッグイベントを成功させるには“かつての格闘技ファン”を呼び戻すことも欠かせない。PRIDE全盛期に活躍した選手たちは、過去(日本での格闘技ブーム)と現在(UFCを頂点とした世界規模の格闘技人気)をつなげる役割を果たすのだ。