フットボール“新語録”BACK NUMBER

CL放映権ビジネスに携わる日本人。
岡部恭英が語る、3つのJリーグ改革。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

PROFILE

photograph byShinya Kizaki

posted2013/01/28 10:31

CL放映権ビジネスに携わる日本人。岡部恭英が語る、3つのJリーグ改革。<Number Web> photograph by Shinya Kizaki

CLの放映権やスポンサーシップセールスを行なう『TEAM MARKETING AG』(本社・スイス)で働く岡部。『TEAM』にはいきなり受付に電話を掛けて責任者に電話を取り次いでもらい、面接のチャンスを掴んで就職にこぎつけたという。

「Jリーグはピッチ上のレベルは高いし、 育成は世界に認められるようになってきている。
更なる高みに到達するため、
今必要なのはお金をもっと回す仕組み。
ちょっとルールを変えれば、もっとお金が回るようになり、 サッカー界の好循環を生めると思います」

岡部恭英(UEFA独占代理店〈CL〉『TEAM MARKETING AG』アジア部門ヘッド)

 Jリーグは未来に向けて、どんな可能性を秘めているのか? それを考えるうえで、非常に参考になる人物がいる。CLの放映権&スポンサーシップセールスを世界中で行うスポーツマーケティング会社『TEAM MARKETING AG』に勤める岡部恭英だ。

 まずは『TEAM』の説明が必要だろう。

 かつてCLは「チャンピオンズカップ」と呼ばれ、各国の優勝クラブが集まるトーナメント方式の大会にすぎなかった。そこに目をつけたのが『TEAM』だ。当時UEFAの会長を務めていたヨハンソンに「仕組みを変えれば、収益が大幅に増え、欧州サッカー界全体に還元されます」と提案。ついに会長の心を掴み、1992年UEFAとともにCLを立ち上げ、『TEAM』は一気にスポーツビジネス界のトップランナーになった。

日韓W杯を機に、商社からスポーツビジネスの世界へ。

 その名門に岡部が入社したのは、2006年のことだ。

 慶応大学体育会ソッカー部で4年間プレーした後はサッカーから離れ、ハイテク産業の商社マンとしてアジア・アメリカなどで働いていたが、2002年日韓W杯を機に「サッカー界で働きたい」と決意。会社に辞表を出してイギリスに飛び、ケンブリッジの大学院でMBAを取得。在学中にエバートンでインターンを行なった経験などが高く評価され、卒業後に『TEAM』の一員になる権利を手にした。アジア出身者が採用されたのは、同社の歴史において初めてのことだった。

 現在、岡部はアジア部門のヘッド(責任者)として、CLとELのアジア地区における放映権とスポンサーシップのセールスを任されている。普段は『TEAM』の本社があるスイス・ルツェルンで日々の業務を行ない、アジア・欧州各国への出張を繰り返している。ちょうどこのインタビューの前日は、中国を訪れていた。

【次ページ】 「Jリーグのこれまでの道のりは100点に近いと言える」

1 2 3 4 NEXT
#岡部恭英

Jリーグの前後の記事

ページトップ