フットボール“新語録”BACK NUMBER
CL放映権ビジネスに携わる日本人。
岡部恭英が語る、3つのJリーグ改革。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byShinya Kizaki
posted2013/01/28 10:31
CLの放映権やスポンサーシップセールスを行なう『TEAM MARKETING AG』(本社・スイス)で働く岡部。『TEAM』にはいきなり受付に電話を掛けて責任者に電話を取り次いでもらい、面接のチャンスを掴んで就職にこぎつけたという。
そろそろパチンコ業界のスポンサー参入を認めるべき。
2つ目は「スポンサーの倫理規定の見直し」。
「Jリーグでは、パチンコメーカーがスポンサーとして胸ユニフォームなどで露出することが禁じられていますが、ヨーロッパに目を向けると、プレミアリーグのクラブを筆頭に、たくさんのクラブがオンラインのブックメーカーと胸スポンサーの契約をしていますよね。これも1つ目と同じなんですが、すごくもったいない。例えば、パチンコ業界がスポンサーになれれば、財政難に苦しむ地方のクラブにゆとりができると思います」
スペインのレアル・マドリー(『bwin』)、イングランドのストーク(『bet365』)やウィガン(『12BET』)など、多くのチームがブックメーカーとスポンサー契約をしている。Jリーグが子供たちへの影響を考慮しているのは評価すべきことだが、日本のTVでも競馬や競輪のCMが日常的に流れていることを考えると、そろそろ柔軟に対応していい時期かもしれない。
「Jリーグはピッチ上のレベルは高いし、育成は世界に認められるようになってきている。更なる高みに到達するため、今必要なのはお金をもっと回す仕組み。ちょっとルールを変えれば、もっとお金が回るようになり、サッカー界の好循環を生めると思います」
3つ目は「スタジアムの有効活用」だ。
「ヨーロッパの一流のスタジアムは究極のエンターテインメントのシアター(劇場)ですよね。日本には消防法や公園法など規制も多いので簡単ではないですが、もっとスタジアム利用の多角化を目指してもいいと思います。たとえばヨーロッパのようにレストランやショッピングモールを併設したり、コンサートを開催したり。そのためには財源が必要になりますが、お金が回るようになれば実現できるはずです。スタジアムの有効活用が進めば、各クラブのスタジアム利用費が下がり、余剰資金も生まれるはずです」
放送権ビジネスで最重要なのは徹底的なリサーチと分析。
もちろん既存のルールを変えようとすれば、反発も大きいだろう。だが、岡部はそういうときこそスポーツビジネスマンの腕の見せ所だと考えている。これまで岡部は、欧州サッカービジネスの最先端でさまざまな技術を身につけてきた。
たとえば「リサーチ会社の利用」だ。
「『TEAM』で働くようになって、驚かされたのは徹底的にリサーチと分析をすることです。データは本当に重要。放映権は通常3年契約で、約1年半の間に次に向けた交渉を行なうのですが、そのほとんどをリサーチと分析に費やしていると言ってもいいくらいに。日本はすべて自分の会社でやろうとする傾向がありますが、それでは限界がある。ヨーロッパにはスポーツに特化したリサーチ会社がたくさんあります」