フットボール“新語録”BACK NUMBER
CL放映権ビジネスに携わる日本人。
岡部恭英が語る、3つのJリーグ改革。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byShinya Kizaki
posted2013/01/28 10:31
CLの放映権やスポンサーシップセールスを行なう『TEAM MARKETING AG』(本社・スイス)で働く岡部。『TEAM』にはいきなり受付に電話を掛けて責任者に電話を取り次いでもらい、面接のチャンスを掴んで就職にこぎつけたという。
「Jリーグのこれまでの道のりは100点に近いと言える」
この欧州最強の人気コンテンツを扱う日本人は、Jリーグに対してどんな印象を持っているのか? 岡部から返ってきたのは、意外な答えだった。
「Jリーグの成功は、驚くべきことだと思います。過去20年で最も伸びたリーグのひとつじゃないでしょうか。同僚との会話でも、よく話題に出るんですよ。世界のトップ10前後の観客数を集め、さらにヨーロッパで活躍する選手を次々に輩出している。赤字が少なく、健全経営という点でも優れている。これまでの道のりは、100点に近いと言ってもいいんじゃないでしょうか」
これは決してリップサービスではない。岡部は数年前、世界のクラブ収入ランキングを見て度肝を抜かれたことがある。
「浦和レッズが世界のトップ50に入っていたんですよ。Jリーグがヨーロッパのリーグと比べて不利なのは、有料TVの文化が浸透していないことです。たとえばイギリスのBスカイBは1000万人を超える契約者数がいて、ものすごい金額がクラブに入る。けれど、浦和は放映権料が限られているにもかかわらず、世界のトップ50に入った。衝撃でした」
ただし、日本に住んでいる人間からすると、Jリーグは全国的な広がりを見せる一方で、良く言えば成熟期、悪く言えば伸び悩みの時期を迎えているように感じる。それでも岡部が可能性を感じるのは、なぜなのだろう?
Jリーグをさらに発展させるための3つのプランとは?
その理由は、極めてシンプルだった。岡部は「すでに気がついている人も多いと思いますが」と前置きしたうえで言った。
「Jリーグには、すぐに実行できるプランがあるからです。ここでは3つあげたいと思います」
1つ目は「外国へのオーナーシップの解放」だ。
「現在、Jリーグのルールでは、外国人がクラブのオーナーになることはできません。保守的で誇り高きイギリス人たちが、ロシアや中東に門戸を開き、そのおかげでプレミアリーグが金銭的にも競技的にも成功していることを考えると、日本がそれを生かさないのはもったいない。ブンデスリーガのように外国人オーナーを認めてないリーグもありますが、このルールは見直し検討余地ありだと思います」