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ひと味違うサッカー番組、
『FOOT×BRAIN』が書籍化。
~プロデューサーが語る切り口~
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph bySports Graphic Number
posted2013/01/05 08:00
『フット×ブレインの思考法 日本のサッカーを強くする25の視点』 テレビ東京 FOOT×BRAINプロジェクト編著 文藝春秋 1300円+税
いろんな角度から、サッカーをより身近に感じてほしい。
加固氏は言う。
「番組上、サッカーファンなら誰もが知っている憲剛選手の存在はとても大切です。だけど企画の主役はあくまで天野さん。コアなファンに発信するのと並行して、何となくサッカーを見ている人たちにも、憲剛選手の言葉を入り口にして“こういう内側の部分も覗いてみませんか”との狙いがありました。いろんな角度から語ることでサッカーをより身近に感じてもらえればいいという考えが根本にあるので、フットブレインらしい企画の1つだったと思っています」
サッカーとは直接関係のない立場の人とのリンクもこの番組ならでは。たとえば、ラグビー元日本代表主将の、アンドリュー・マコーミック氏に外国人から見た日本を語ってもらったこともある。
茂木健一郎氏による「脳科学で強くなる」で起きた化学反応。
ただ、こういったケースになると、番組がどう展開していくか読めないこともあるとか。それがいい方向に出たのが脳科学者の茂木健一郎氏による「脳科学で強くなる」('11年6月放送)だった。
「台本には一応、脳科学用語がズラリと並んでましたけど、実際にサッカーとどう絡んでくるかまったく分かりませんでした(笑)。でも面白くなると思ったし、何か新しい発見があるんじゃないか、と。実際、試合終盤に失点が多かったりするのと脳の関係を語ってもらったり、興味深い話がポンポンと飛び出しました」
30分弱の短い放送枠ながら、いかなるテーマにおいても番組としての結論を堅苦しくなく提示している。このことも視聴者に受け入れられてきた要素だろうか。
加固氏が描く番組の将来像とは。
「テーマに定型がないのでそこは難しいんですが、進行中の企画自体は100ぐらいあります。そのなかで今、何が面白いのかを考えて毎回勝負していきながら、'14年のブラジルW杯を迎えたい。そしてフットブレインならではの角度で、W杯と向き合ってみたいというのが番組スタッフみんなの目標です」