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アンディ・サワーの連覇は予定調和!?
波乱なき『S-Cup』と競技の成熟ぶり。 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph bySusumu Nagao

posted2012/11/24 08:01

アンディ・サワーの連覇は予定調和!?波乱なき『S-Cup』と競技の成熟ぶり。<Number Web> photograph by Susumu Nagao

11月17日、両国国技館で行なわれたシュートボクシング『S-cup 2012』。決勝は過去3回の優勝を誇るアンディ・サワー(写真右)とその一番弟子のヘンリー・オプスタルという師弟対決。判定3-0でサワーが勝利し、見事大会4度目の優勝を達成した。

 シュートボクシングのビッグイベント『S-cup』(11月17日、両国国技館)のメインイベントが終わった時、リング上の選手だけでなく観客も疲労困憊だった。

 なにしろ本戦14試合、オープニングマッチも合わせれば17試合のロング興行である。試合数の多い興行は他にもあるが、この『S-cup』はトーナメントであり、間に挟まるワンマッチにも豪華メンバーが集う。「メインにだけ集中すればいい」というわけにはいかないのだ。

 これでもかとばかりに詰め込まれた注目カードの連続。しかし“時間を忘れるほどの激闘”ばかりにはならなかった。トーナメント1回戦はすべて判定決着。一つが延長戦までもつれ、残りの三つは2-0の接戦だった。判定が悪いわけではないが、どうしても“問答無用の興奮”にはつながらない。

会場の熱気を冷ました、予定調和な試合の数々。

 その1回戦では、初参戦の大物外国人たちが全滅している。MMAファイターのヨアキム・ハンセンとジェシアス・カバウカンチ(J.Z.カルバン)は鈴木博昭と宍戸大樹に敗れた。準決勝2試合は、どちらも1ラウンドKO。しかしこれは、多くの観客にとって残念な結果だっただろう。負傷棄権した鈴木博昭に代わって登場したリザーバーの鈴木悟がヘンリー・オプスタルに、日本人エースである宍戸はサワーに圧倒された。鈴木悟はリザーブマッチで予告通り郷野聡寛をパンチだけでKO、観客の心を掴んでいたのだが、だからこそオプスタルに完敗を喫したことで会場の“熱”は下がってしまった。

 決勝を争ったサワーとオプスタルは、同じ『チーム・サワー』の所属。外国人同士の同門対決を前のめりになって見るファンは、決して多くない。判定で勝ったサワーが史上最多4度目の優勝を果たしたのだが、そのことも観客の目には“当たり前すぎて面白くない結果”に映ったかもしれない。

日本と浅草を愛する、アンディ・サワー。

『S-cup』は、ビッグマッチの難しさ、トーナメントの難しさ、勝負の難しさが凝縮されたような大会だった。イベントとしては、成功だったとは言いがたい。ただ団体として、競技としての成果はあったのではないか。

 決勝戦は外国人対決だったが、それはまぎれもない“シュートボクサー対決”でもあった。サワーは2002年の初来日以来、シュートボクシング所属として活動し続けている。自分にチャンスを与えてくれたシュートボクシングに愛着と誇りを持ち、すぐに“ファミリー”になった。

 のちに出場したK-1 MAXでは“魔裟斗の天敵”として2度の優勝。ルールで禁止されるまでは、K-1でもシュートボクシングの公式コスチュームであるロングスパッツを着用していた。K-1に出場する時も、主催者指定のホテルを断り、シュートボクシング参戦時と同じ浅草のホテルに泊まるのが恒例だ。「浅草には“行きつけの店”も何軒かあるみたいです。僕たちが連れて行ったわけではないんですが」と広報担当者も驚くほど“地元”になじんでいる。

【次ページ】 決勝後の“礼”に表れた、シュートボクシングの成熟。

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