決勝後の“礼”に表れた、シュートボクシングの成熟。

　そんなサワーの薫陶を受けたオプスタルは、今年“シュートボクシング代表”として他団体に参戦。日菜太、中島弘貴、長島☆自演乙☆雄一郎と日本のトップファイターに連勝して『S-cup』出場権を得た。彼もサワーと同じように“シュートボクシングのため”に闘ってきたのだ。

　決勝を闘い終えると、サワーとオプスタルは向い合って正座し、深々と頭を下げた。その光景を見たシーザー武志会長は、こう語っている。

「彼らが日本で“心”を学んで、それがオランダに伝わっているのなら、こんなに嬉しいことはありませんよ」

　日本人も、大物ゲスト選手もいない、オランダ人シュートボクサー同士の決勝戦。だがそれは、シュートボクシングという日本で生まれた競技がオランダにも根を張った証拠でもあったのではないか。