青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
全米オープン直前の石川遼へ質問。
「4大メジャーを漢字一文字で表すと?」
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byKYODO
posted2010/06/14 10:30
昨年は国内最終予選で敗退し、全米オープンに参加すらできなかった石川遼。今年は渡米前の記者会見でも落ち着いており、日本の賞金王として堂々と現地へ乗り込む
17日から始まる全米オープンに石川遼が日本の賞金王として初出場を果たす。すでにマスターズ、全英オープン、全米プロには出場しており、これで4大メジャーすべてを経験することになる。
その石川に少々難しい(無茶な?)質問をぶつけてみた。
「4大メジャーをそれぞれ漢字一文字で表すとどうなる?」
当然のことながら「うーん」と考え込んでしまったが、「宿題として持って帰って考えてきます」となんとも律儀に対応してくれた。
数日経って、石川の出した回答はこうだった。
「マスターズは『祭』です。全英オープンは『真髄』。『真』と『髄』のどっちがいいのか分からないけど、ゴルフの祭典とゴルフの真髄というイメージですね。ただ、全米オープンと全米プロの違いがまだはっきりしない。全米オープンをただの『難』では済ませたくないんですよ」
全米ゴルフ協会が仕掛ける“世界一過酷なトーナメント”。
同じメジャーといえども、その個性はトーナメントごとに異なる。
「4大メジャーは2つのタイプに分かれると思います。コースの持っている特徴を最大限に生かすか、人間の技術と力でコースをどんどん難しくしていくか」
前者は毎年オーガスタで行われるマスターズであり、リンクスで自然と闘う全英オープンのことであり、後者は全米オープンと全米プロである。
全米オープンを主催する全米ゴルフ協会は、大会のセッティングについて次のような明確な思想をもっている。
「我々は大会をゴルファーにとって最も厳しいテストの場とするつもりである。極限のプレッシャー下において、あらゆる種類のショット技術、不屈の精神、肉体的持久力が試されることになるだろう」
狭くきつく絞り込まれたフェアウエーに、一旦つかまればどんな屈強な選手でも脱出するだけがやっとの深いラフは、18ホールを回りきるだけでも苦痛を伴う。世界一過酷なトーナメントと呼ぶにふさわしい舞台だ。
全米オープンは「選手を苦しめてナンボというイメージ」。
昨年8月に出場した全米プロでもコースの難易度に舌を巻いた石川は、今大会がさらに厳しい戦いになることを覚悟している。
「全米オープンは世界一難しいセッティングで、選手を苦しめてナンボというイメージがありますね。それは今回のペブルビーチでも感じるんだろうと思います」
カリフォルニア・モントレー半島の海沿いにあるペブルビーチゴルフリンクスは、太平洋を望む雄大で美しい眺めから、プロ、アマ問わずゴルファーの憧れのコースである。全米オープン開催は10年ぶりで、2000年の大会ではタイガー・ウッズが圧倒的な強さで大会初優勝を飾った。