自転車ツーキニストのTOKYOルート24BACK NUMBER
お江戸に彷徨う霊を自転車で追う!?
下町に広がる歴史的名所の“異界”。
text by
疋田智Satoshi Hikita
photograph bySatoshi Hikita
posted2012/09/30 08:00
吉良上野介義央の上屋敷跡の前にて、フォールディングバイクの傑作車ブロンプトンと共に。
そして、異界をグルリと巡って再び両国橋へ。
本所七不思議を怪談としてとらえるならば、普通の意味で恐いのは「片葉の葦」だろう。留蔵はその後、狂死したと伝えられているが、その片葉の葦が生い茂っていたという「片葉堀」は、明治37年まで存在していた。
両国橋のたもと、右手だ。今では例の遊歩道・隅田川テラスとなってしまっているが、考えてみれば、この隅田川も数々の悲劇とともにあったのだ。
荒川放水路ができるまでは、この隅田川こそが荒川であって、数々の氾濫を起こしてきた。
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江戸期には振袖火事、戦前は関東大震災。そして、東京大空襲だ。東京という街が燃えるたびに、隅田川には大挙して人が押し寄せ、その多くがここで命を落とした。
だから、この両国橋に限らず、隅田川沿いには鎮魂の施設が多い。
両国にあるのは「回向院」である。明暦3年の大火(振袖火事)の焼死者を集めて築いた万人塚が始まりで、後にも安政大地震、関東大震災、海難、水死、焼死、牢病死で亡くなった全ての無縁仏を祭っているという。
現在はペットの供養をするお寺として一躍有名寺になっているのだそうだ。
そうそう、義賊として有名な鼠小僧次郎吉の墓もある。鼠とペットの間に何の関係があるのかは分からない。