フェアウェイの舞台裏BACK NUMBER
112年ぶりに正式種目復活のゴルフ。
リオ五輪での試合形式に疑問符が?
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byAP/AFLO
posted2012/08/19 08:01
2度目のメジャー優勝を果たしたローリー・マキロイ(左)、復活を期待させたタイガー・ウッズ、メジャー6戦ぶりとなる石川遼の予選突破など、見どころが多かった全米プロだったが、ロンドン五輪と日程が重なり、ほとんど話題にならなかった。
五輪でのゴルフには“スペシャル感”の演出が不可欠だ。
彼らがそう考える理由の1つには、ゴルフ界にすでに4大メジャーという歴史と伝統ある最高の大会が存在していることも影響している。
五輪はメジャーのステータスを上回れるかと聞けば、「それはないね。テニスと同じだよ」と皆が口をそろえる。確かにゴルファーにとってマスターズ優勝のグリーンジャケットと五輪の金メダルは天秤にはかけられない。
前述のデュセク氏はこう言う。
「今の選手たちはメジャーで勝つことを夢見てゴルフをしてきた。金メダルを取ることじゃない。20年、30年後のことは分からないけど、しばらくはメジャーを上回るステータスにはならないと思うよ」
米ゴルフワールド誌の編集者デーブ・シェドロスキー氏も「メジャーには100年近い歴史と伝統があるから、それに勝るのは難しいことだ」と首を振った。「僕も団体戦がいいと思っている。五輪は個人の戦いじゃない。国のプライドをかけた戦いだ。だからこそ、みんな普段以上にエモーショナルになるんじゃないのかな」
だとすれば、やはり五輪のゴルフには“スペシャル感”を際立たせる何らかの舞台装置が必要なのではないか。選手やファンにとっても、メジャーとは違った形で感情移入ができるような試合。そうなってこそ五輪競技としてのゴルフの価値は高まる。