ロンドン五輪EXPRESSBACK NUMBER
日本バドミントン界の悲願達成!
フジカキの偉業とオリンピック精神。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byShinji Oyama/JMPA
posted2012/08/05 13:20
圧倒的に実力が上だった中国代表選手にどこまでも食い下がっていった日本代表の藤井瑞希 ・垣岩令佳ペア。会場では劣勢の日本に対し、多くの応援があった。
アマチュアリズムに則る競技に無気力試合はあり得ない。
オリンピック精神の枠内と枠外にある競技を同一視すること自体、非常に難しい話なのである。
バドミントンが、グループステージと決勝トーナメントという今回の方式を採ったことをして無気力試合を行なった理由とするのも、アマチュアリズムを考えると当然おかしな話なのである。
話を日本ペアの熱戦に戻そう。
藤井と垣岩は、第1ゲームを10-21で落とした第2ゲームで、対照的な姿を見せる。中国ペアのスピードに慣れてきたのか、本来の持ち味を徐々に発揮しだすのである。
藤井が好ショットを見せれば、垣岩も得意のスマッシュで、12-9、15-12とリードする。だが中国の2人もそのままでは終わらない。一進一退の攻防の末、マッチポイントは中国に。ここから日本は粘りを見せ、3度のマッチポイントをしのいだが、最後は力尽きた。
惜しかったのは、試合への入り方だ。
敗れはしたが、藤井と垣岩の戦いぶりには惹きつける何かがあった。
藤井はこう振り返る。
「緊張していたのでうまくいきませんでした」
垣岩も言う。
「1ゲーム目は緊張してしまってだめでした。先輩から『楽しんで』って言われて……楽しみたかったんですけれど、緊張しちゃって」
地力で上回る相手に勝つには、先手を取っていかなければ難しい。相手のスピードへの対処の仕方とともに、第1ゲームの時点から、うまく試合に入れていれば……。
その差は、経験の部分であると言っていいのかもしれない。
敗れはしたが、藤井と垣岩の戦いぶりには、惹きつける何かがあった。