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死のグループでもユーロ優勝候補。
ドイツにまだ“ゲルマン魂”はあるか? 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byBongarts/Getty Images

posted2012/06/07 10:30

死のグループでもユーロ優勝候補。ドイツにまだ“ゲルマン魂”はあるか?<Number Web> photograph by Bongarts/Getty Images

緑色のユニフォームがドイツ代表。スイスに3点目を決められ、フンメルスがキャプテンマークを巻いたクローゼに渋い顔で何やら話しかける。

 6月8日にウクライナとポーランドの共催でユーロ2012が開幕する。ドイツ代表はオランダ、デンマーク、ポルトガルと潰しあう“死のグループ”に入ったが優勝候補の一角に挙げられている。先の南アフリカW杯の準決勝でスペインに敗れたものの攻撃的なサッカーで3位になったことが高評価につながっているのだろう。だが、実はドイツ代表は奇妙な状況で本大会へと向かうことになる。

 彼らの最大の強みがどこにあるのか。それが見えなくなってきているからだ。

 現在のドイツ代表の強みは、2つある。

大会に合わせて完璧にコンディションを調整できる強さ。

 1つ目は、コンディショニングのうまさだ。

 '06年のW杯から、ドイツ代表は本大会に最高の状態で臨めるように、選手ごとの関節の堅さからジャンプ力、あるいはスピードに至るまで細かく計測。それらを基準に全体を細かいグループにわけて、各選手の資質にあったフィジカルトレーニングをほどこすことで、本大会にむけてのコンディションを整えてきた。実際、'06年W杯(3位)、'08年ユーロ(2位)、'10年W杯(3位)はいずれも前評判が高くなかったが、上位に食い込んできた。これはポテンシャルが高くても実力を発揮できないチームを尻目に、持てる力を最大限にいかしてきたからだ。

選手を大事にしてチームを見事にまとめ上げるレーブ監督の存在。

 2つ目が、選手の技術とテンポを大切にするレーブ監督の手腕だ。

 レーブは'04年にクリンスマン監督を支えるアシスタントコーチとして代表に入閣。'06年W杯後に監督として指揮をとるようになった。しかし'06年に地元で3位になった代表チームを作り上げたのは、クリンスマンではなく、戦術面を担当したレーブだったと、その手腕は高く評価されている。つまり、現在のドイツ代表はレーブが代表チームにかかわりをもった'04年から、同じ方向性で強化されたチームなのだ。さらに'10年のW杯からはエジル、ケディラ、ミュラーなど、'00年から始まったドイツサッカー協会の強化策のもとでユース年代から適切な指導を受けてきた選手たちが代表に加わったことでチーム自体のポテンシャルがさらに高まった。

 しかしながら、失ったものもある。

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