ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER

死のグループでもユーロ優勝候補。
ドイツにまだ“ゲルマン魂”はあるか? 

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

PROFILE

photograph byBongarts/Getty Images

posted2012/06/07 10:30

死のグループでもユーロ優勝候補。ドイツにまだ“ゲルマン魂”はあるか?<Number Web> photograph by Bongarts/Getty Images

緑色のユニフォームがドイツ代表。スイスに3点目を決められ、フンメルスがキャプテンマークを巻いたクローゼに渋い顔で何やら話しかける。

「ゲルマン魂」「トーナメントチーム」は健在か?

 W杯を3回、ユーロでも3回の優勝経験のあるドイツ代表。

 その強さは、実際にはドイツ語には存在しない「ゲルマン魂」という言葉が日本でも知られているように、試合終了の笛が鳴るまであきらめない強靭なメンタリティにあるとされてきた。

 もっともドイツでも、ドイツ代表は「トーナメントチーム」と呼ばれており、負ければ終わりのトーナメントで無類の強さを発揮すると考えられている。しかし、現在のチームにはそうした伝統が見い出しにくくなりつつある。

 ドイツを代表するクラブであるバイエルンが象徴的だ。

 先日ミュンヘンで行なわれたチャンピオンズリーグの決勝戦でバイエルンのクロースをはじめとした選手の一部が、PK戦でキッカーを辞退したことが話題になった。これはかつてのドイツ人の姿勢を考えればありえなかったことだ。メンタリティが試される場面でこそ、ドイツ人の心の強さが活きてくるのだから。

 キッカーから逃れたいと考える選手が、大一番で実力を発揮できるのか疑問が残る。

いまだ癒しきれていない、CL決勝におけるバイエルン敗北の傷。

 さらに、ここにきて危惧されているのは、そうしたバイエルン勢の心の傷だ。

 現在の代表レギュラー11人のうち、バイエルンに所属するのは8人。CLのみならず、ブンデスリーガとドイツカップでも勝利にあと一歩及ばず2位に甘んじたバイエルンの選手たちが、本大会までに頭を切り替えられるのか、不安視されていた。

 ドイツ代表のご意見番であるベッケンバウアー氏などは、今季の国内2冠を達成したドルトムントの選手たちを、EUROでも積極的に補強するように主張していたほどだ。

【次ページ】 ドルトムントの選手を多く起用したスイス戦で大敗!

BACK 1 2 3 NEXT

海外サッカーの前後の記事

ページトップ