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レスリング全日本選抜で復帰する
“不遇の天才”。
~ロンドン五輪を目指す坂本日登美~
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAkihiro Sugimoto/AFLO SPORT
posted2010/04/28 06:00
最後に優勝した'08年世界選手権で見せた笑顔。引退後、全日本女子チームのコーチをしていた
5月1日からレスリングの全日本選抜選手権が行なわれる。今夏の世界選手権代表の選考大会だが、ここで一人の選手が2度目の復帰を果たす。女子の坂本日登美である。今年1月、29歳になった。一般的には、知る人ぞ知る、といった立場かもしれない。だがレスリング界では知らぬ者のない存在である。
'90年代末、坂本が台頭してきたときの衝撃は大きかった。彼女のあまりにも卓越した技術に、「女子レスリングの歴史が変わる」と語る関係者もいたほどだ。
世界選手権に計6度出場し、27戦全勝ですべて優勝。相手に1ポイントも与えない圧勝で、大会最優秀選手に選ばれたこともある。余談だが、坂本は自衛官である。「功績は大」と女性自衛官初の第1級賞詞を授与されてもいる。