濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
世界最大・最高のMMA大会が来日。
“UFC”で日本格闘技界が激変する!?
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byGetty Images
posted2012/02/23 10:30
今回、ライト級4度目となる防衛戦に挑む王者フランク・エドガー。レスリングを基礎に、ブラジリアン柔術を習得。そのファイトスタイルは判定での勝利も多いが、前戦UFC136ではグレイ・メイナードに対してTKOを収めるなど、無類の粘り強さを誇る
演出のすべてが世界標準仕様となっているUFC日本大会。
エドガーとヘンダーソンのタイトルマッチは、ラスベガスでもメインを張れるであろう超一流同士のマッチメイクだ。またアナウンサーやラウンドガール、演出も本国そのまま。
「日本だから(ズッファ社が買収した)PRIDEの曲を流すのかって? 答えはノーだ。これはUFCなんだ」
とダナ・ホワイト社長は語る。
日本独自のスペシャル仕様ではなく、いつもどおりのUFCこそが“スペシャルな大会”なのだという自負があるのだろう。
“ジャパニーズMMA”とは異なる世界主流のMMAルールとは?
UFCはアスレチック・コミッションが定める公式ルールを採用しており、PRIDEからDREAMへと続く“ジャパニーズMMA”とは試合の様相も異なってくる。
PRIDE、DREAMの判定が試合全体を通して優劣をつけるのに対し、UFCはラウンドごとに10-9、10-8とポイントをつけるボクシングと同じジャッジ方式。僅差の試合ではポイント争いの妙味も出てくる。
最も大きな違いはヒジ打ちだ。
スタンドでの接近戦、あるいはグラウンドで密着した状態から繰り出されるヒジはKO、あるいは出血TKOを狙える強力な武器。
だからこそ、ヒジ打ちにつながるテイクダウンの重要性も増す。金網際での差し合いからどちらが倒すか。倒された相手がいかに立ち上がるか。
こうした細かい攻防に注目することで、UFCの闘いはより味わい深くなるだろう。
“いつもどおりのUFC”には、もう一つの面もある。世界最高峰を目指す男たちの、シビアな生存競争だ。UFCでは、契約期間内でも負けが重なるとリリース(契約解除)される選手が少なくない。それだけ層が厚く、常に新陳代謝が促されているのだ。