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F1界で輝き続ける日本人たち。
今井、松崎の“with the team”精神。 

text by

尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byHiroshi Kaneko

posted2012/02/13 10:30

F1界で輝き続ける日本人たち。今井、松崎の“with the team”精神。<Number Web> photograph by Hiroshi Kaneko

昨シーズン後半、マクラーレンの巻き返しの立役者として一躍有名になった今井弘プリンシパルエンジニア。ピレリタイヤの難しい特性を見事解明して、すぐさまレースにフィードバックさせた

「現在のF1は'80年代のようにエンジンの馬力だけで勝負する時代ではありません。エアロダイナミクス、ビークルダイナミクスなど、F1マシンを構成するさまざまな分野を専門的に研究し、それらをいかにうまく結合させてベストな状態にまとめ上げるかという総合力が重要となっています。昨年、タイヤがピレリに変更されたことで、いままで以上にタイヤが重要視されるようになったからじゃないでしょうか」

 フェラーリが1年がかりで自分の獲得に乗り出してきた理由を、元ブリヂストンのエンジニアである浜島裕英(前回コラムで紹介)は、そう説明した。

 モータースポーツの最高峰と謳われるF1の世界には、さまざまな分野からトップエンジニアが集結している。チャンピオンチームであるレッドブルの技術部門を指揮しているのは空力の天才と言われるエイドリアン・ニューウェイ。イギリスにベースを置くロータス(旧ルノー)で2010年から副テクニカルディレクターを任されているのは、日産時代に車体制御とトランスミッションのスペシャリストだった徳永直紀である。

F1界で活躍するブリヂストン出身の日本人エンジニア。

 そのF1界に浜島以外にも2人の元ブリヂストン・エンジニアが活躍していることは、あまり知られていない。ひとりはマクラーレンの今井弘(ビークルエンジニアリング部門プリンシパルエンジニア)、もうひとりが松崎淳(タイヤ&ビークルサイエンス部門シニアエンジニア)だ。

 今井は、東京大学大学院を修了後、工学修士としてブリヂストンに入社。ヨーロッパテクニカルセンターで世界のエンジニアたちと腕を磨いた後、'03年からモータースポーツ部門に配属。ブリヂストンがフェラーリとともに18戦15勝を挙げた'04年の大躍進を下支えした人物である。その後、今井は'09年にマクラーレンへ移籍。現在はテクニカルディレクターのパディ・ロウの下で、マクラーレンの開発をリードしている。

【次ページ】 ミシュランとの過酷なタイヤ戦争で活躍した日本人たち。

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