リーガ・エスパニョーラの愉楽BACK NUMBER
クラブ史上最も重要なCLで敗退。
レアルとバルサを分けたものは?
text by
中嶋亨Toru Nakajima
photograph byMutsu Kawamori
posted2010/03/29 10:30
レアル・マドリーのホーム、サンチャアゴ・ベルナベウで行われた対リヨン2戦目。前半6分、FWクリスティアーノ・ロナウドが先制するも、後半30分にはMFミラレム・ピアニッチにゴールを許しドローで試合終了。2試合の合計スコアで1-2となり、レアル・マドリーはCL敗退となった
過去の苦い経験を糧にしてCLの頂点に立ったバルセロナ。
一方、宿敵バルセロナは'98-'99シーズンに今季のレアルとよく似た失敗をしている。
'97-'98シーズンからファン・ハールを招聘したバルサは、リーガで2連覇。だが、ファン・ハールがアヤックスで成功した時の選手達をはめ込むだけだったチームは、欧州の強豪相手の一発勝負で脆さを露呈。'98-'99のCLでは、決勝進出したバイエルン・ミュンヘン、マンチェスター・ユナイテッドと同グループとなり、予選リーグで敗退している。バイエルンには0勝2敗、マンUには2引き分けと、強豪2チームに対しては一勝もできなかった。
'03-'04シーズンから現在に至るまで、CLにおける2チームは、レアルが6シーズン連続ベスト16敗退に対し、バルサは2度の優勝と対照的な結果を残している。この2チームが、CLで成功する場合と失敗する場合における背景は、実によく似ているのだ。
リーガ優勝がペジェグリーニ続投の絶対条件である。
レアル(フロレンティーノ・ペレス会長)は、これらの失敗から学び、今後のチーム作りに役立てることができるだろうか。クラブ幹部たちはペジェグリーニ監督をシーズン終了まで続投させることを現時点では明言しているものの、今季が終われば再び監督を交代させる可能性もなくはない。ラモン・カルデロン会長時代に1年半でチームを追われたシュスターは最近、地元紙上でこう語っている。
「ペレスが帰って来た時、私は彼の変化に期待した。だが、バルダーノを補佐役に置いたことでその期待を裏切られた気持ちになった。あぁ、今度も前回と同じことを繰り返すのだなと。あのデル・ボスケを追い出したのを始めに、少し結果が出ないだけで何人も監督を取り替えてきた。その度に多くの選手が入れ替わり、レアルがチームとして完成されたことはない。もしまたペジェグリーニを追い出すのならば、新たな“シュスター組”と“ペジェグリーニ組(選手入れ替えで追い出される側の選手達)”が生まれることになるだろう。そして、それは彼が以前犯した過ちを繰り返すことでもあるのだ」
'03-'04シーズン、バルセロナは無冠に終わったライカールトを続投させた。あのシーズン、ライカールトは序盤戦からの不振によって幾度も解任の危機にさらされていたが、それでも後半戦で驚異の巻き返しを見せた。そして、その後の成功につながる続投を勝ち取ったのだ。
今季のペジェグリーニで言えば、リーガ優勝が続投の権利獲得のための必要条件となってくるだろう。CLで勝ち残っているバルセロナが決勝の地サンチャゴ・ベルナベウに近付くにつれて、マドリディスタたちの残されたタイトル獲得へのプレッシャーは高まるはずだ。それはペレス会長、ペジェグリーニ、選手達に重く圧し掛かるが、そこでの彼らの選択とそれによって生まれる結果が、来季以後のレアルのCLでの復活を左右することになるだろう。