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今春のセンバツは多士済々!?
注目校と選手、見所を総まとめ。 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/03/18 10:30

今春のセンバツは多士済々!? 注目校と選手、見所を総まとめ。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

 第82回選抜高校野球大会が21日に開幕を迎える。

 13日にはトーナメントの組み合わせも決まり、大会を目前にして高校野球ファンたちはワクワクしていることだろう。

 毎年思うことだが、夏と比べてもセンバツ大会ほど序盤から好カードが目白押しの大会はない。大会屈指の好カードと呼ばれるような贅沢なカードが1回戦から用意されているのだ。これは主催者に狙いがあるというわけではなく、その抽選方法に理由がある。

 センバツ大会は、同じ県からの出場校はトーナメントの決勝まで、同じ地区からだとベスト8まで対戦させないと決められている。主催者側としては、夏の一県一校開催による「県代表」とは一線を画す「地区代表(一校も出場できない県がでる)」としての色を打ち出したいという思惑もあるのだろう。だが、そうなってくると組み合せの抽選で微妙な問題が発生するのも事実なのだ。

1回戦最大の見所は神戸国際大付vs.帝京の地区王者対決。

 たとえば、今大会最多の7校を代表に出している近畿地区は、和歌山県からの向陽と智弁和歌山、兵庫県からの神戸国際大付と神港学園が決勝まで当たらない。この4校が最初に全出場校を2つに分けたそれぞれに2校ずつ振り分けられる。さらに、この4校と近畿地区の他の3校である大阪桐蔭(大阪)、立命館宇治(京都)、天理(奈良)がベスト8まで対戦しないようにくじ引き前にトーナメント表に配置していく。つまり、くじを引く前に近畿の代表校はトーナメント表の枠が極端に制限されてしまっているのだ。天理は開幕戦が含まれるブロックへ最初に配置されたことで、くじ引きをする時点では2つに1つの確率で開幕戦のくじを引くこととなっていた。ちなみに、過去10年でも、近畿勢が開幕試合を引いたのは今大会の天理を入れて6度という偏りがある(ちなみに、東北勢は過去10年で0回)。

 こうした理由で1回戦から早速、神戸国際大付と帝京(東京)という、近畿ブロックと東京ブロックの地区大会を制したチーム同士のなんとも贅沢なカードが出現したのだ。

トーナメントの各ブロックごとに見所をまとめると……。

 さて、大会をトーナメント表の準決勝以下となる4つの組み合せごとに検証すると、どういう妙味が出てくるのか?

 開幕戦が含まれる天理vs.敦賀気比のブロックには攻撃力のあるチームが集中した。

 昨秋の公式戦打率が1位の花咲徳栄(埼玉)、同2位の天理、5位の日大三(東京)。開星(島根)は打率こそ11位だが、総本塁打数が2位で、1番バッターの糸原健斗、4番の出射徹(いでい とおる)はともに5本塁打を放っている。この私学勢に立ち向かうのが、初出場の嘉手納(沖縄)、21世紀枠で選出の山形中央(山形)、向陽(和歌山)の県立勢。「春は投手力」といわれるのが通例だが、攻撃型チームと粘り強さが身上の県立勢がどう対峙するのか。

【次ページ】 昨夏の覇者・中京大中京のブロックは多様な監督が揃う。

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